寒波と熱波はリンクしている/日本とアフリカはリンクしている—視野を拡大することで見えてくる世界と未来-(松沢呉一)
札幌の大雪
寒いっすね。
北海道育ちの私としても、札幌の雪は怖いわ。
雪国育ちじゃないとわかりにくかと思いますが、人が歩く道、車が走る道の確保と同時に、どうしてああも屋根の雪を下ろすのかと言うと、固まった雪や氷が落ちてきて、通行人が怪我をするためです。大きな氷や尖ったツララだと死にます。今でも毎年何人かは北海道で死んでいるのではなかろうか。
また、雪の重みで屋根が潰れるためでもあります。鉄筋の建物だと、屋根が落ちるようなことはあまりないかとは思いますが、木造だと危ないし、物置だと倒れることもありそうです。
しかし、現在の札幌ではその作業をやってもキリがなく、地面に積み上げた雪の山が高くなっていて、屋根から下ろす雪の置き場がない。出歩かないのが賢明です。
「記録的」の程度はそれほどたいしたことはなさそう
24時間の積雪は統計開始以来最大ということですが、テロップをよく見ると、24時間の積雪量の統計を開始したのは1999年ですから、新記録と言ってもそんなにたいしたことはないかもしれない。
こういう場合は気象庁の観測史上1位のページで、数字を見ていくとよくわかります。全国的にそんなに降雨量、降雪量の記録数は出ていなくて、「いつものやつ」に毛が生えた程度かと思いますが、ちょっと毛が生えるだけでも鉄道も道路もストップし、物流は滞り、事故も激増します。
この報道で驚いたのはコープさっぽろの宅配サービスを利用しているのが43万人もいるってことです。札幌市内だけではないのでしょうが、それにしても。うち30万人以上に予定通りに商品が届かなかったようです。この日はご飯抜き。なんてことはなく、数日分のインスタント食品やレトルト食品くらいはあるでしょうけど、便利になればなるほど、いざという時不都合が起こりやすいものです。
デリヘルからの商品も届かなかったケースが続出でしょう。こんな日に出勤しているのはそもそも少ないでしょうけど、家やホテルで待機するしかない人の需要が多そうです。
※2月6日の「24時間降雪量の日最大値」にたしかに札幌が入っています。
空間の視点・時間の視点を加えることで見えてくる世界と未来
東京もこのあとまた雪らしいですが、せいぜい10センチか20センチなので、屋根が潰れることはなく、暖房をつけて家でジッとしている限りは安全さね。3日やそこら生きていけるだけの備蓄くらいはだいたいどこの家でもあるでしょうから、ジッと自宅待機ですよ。
と思ってしまうのは日本においては正しいとしても、1月2月と世界的に寒波に襲われていて、北米もインドもヨーロッパも寒波襲来です。それぞれ雪がまったく降らない場所ではないのですが(インドはカシミール)、記録的な温度と積雪で交通が遮断され、物流も途絶えています。死者が出ているかもしれない。
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