「現代のヒトラー」プーチン率いるロシアがウクライナをナチス呼ばわりする根拠とプーチンの嘘-(松沢呉一)
「インターネット時代の戦争—ロシア人YouTuberたちと200rf.com」の続きです。
ロシア大使館のツイート
2月28日、駐日ロシア連邦大使館のアカウントが以下をツイート。
https://twitter.com/RusEmbassyJ/status/1498293213270274048
28日参院予算委員会での宇山秀樹外務省欧州局長の発言について:
日本の外務省は、歴史を忘れています。クリル諸島は、南クリルも含め、第二次世界大戦の結果として、連合国の決定に従い法的根拠に基づいて、我が国に譲渡されました。
これは、日本が行った侵略とナチスドイツとの同盟に対する処罰の一部でもありました。
にもかかわらず事実として、日本は100年も経たぬ間に二度もナチス政権を支持する挙に出ました。かつてはヒトラー政権を、そして今回はウクライナ政権を支持したのです。
日本がロシアに対する経済制裁に踏み切ったことに対する批判です。現代のナチスが何を言ってやがる。
たしかに日本はドイツと軍事同盟を組んでいたわけですし、ソ連は多数の犠牲を出してドイツと戦ってヨーロッパでの戦争を終結させたと言っていいわけですけど、ドイツが攻め込むまでは「ポーランドを半ぶっこしようぜ」と互いに占領していた関係ですから、そんなに偉そうなことを言える立場ではありません。対ポーランドにおいては侵略者仲間であった歴史を忘れてないか、ロシア大使館。
そもそもウクライナがナチスドイツと並列に扱われる国家であるとの認識はどこから生じたのかと他のツイートをたどってみると、アゾフを挙げていました。アゾフが東部でのロシア併合派の住民を虐げているってわけです。
※1939年の独ソ不可侵条約締結時に米の新聞に掲載された独ソの関係を揶揄した戯画。Wikipediaより
東ヨーロッパで極右が生まれる背景
アゾフについては「ウクライナ極右勢力の発展と没落—ポストコロナのプロテスト[90]」参照のこと。そこに書いたように、アゾフ連隊、アゾフ市民軍、右派セクター、スヴォボダなど極右の流れがウクライナにあるのは事実。
2014年のユーロマイダンの際には、ロシアはそこをとらえて、「あれはネオナチだ」と決めつけ、日本でも親露派はこれをなぞっていました。
実際、右派も参加していたでしょうが、大多数は無関係であり、新型コロナにおいて、反規制の行動に右派が混じっていると全体をネオナチだと決めつける論法と同じです。
ウクライナの右派は反ロシアが存在理由であり、反ロシアだったナチスにシンパシーを抱く。この短絡は東ヨーロッパでしばしば見られますが、バルト三国であれ、ポーランドであれ、ブルガリアであれ、ルーマニアであれ、「ソ連もナチスもお断り」って国民が大多数かと思います。全体主義はお断り。
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