松沢呉一のビバノン・ライフ

プーチンとそれに追従するロシア人に軽蔑を、プーチンと闘うロシア人たちに敬意を—抵抗するジャーナリスト・芸術家・音楽家・一般の人々-(松沢呉一)

「現代のヒトラー」プーチン率いるロシアがウクライナをナチス呼ばわりする根拠とプーチンの嘘」の続きです。

 

 

ロシア国内の反戦デモ、その後

 

vivanon_sentenceロシア人がバッシングされたりしているようですが、ロシア人と言ってもいろいろですがな。日本人もいろいろなのと一緒。

核兵器の使用までちらつかせて脅すプーチンはどんだけ罵倒してもいいし、プーチンの腰巾着をやっている駐日ロシア大使には心底腹が立ちますけど、今回の戦争ではロシア人たちの反戦の行動がめざましくて、そういうロシア人たちに対しては強い敬意を抱いております。

とくにロシア国内で行動することには多大なリスクが伴って、デモに出ただけで連行された人多数。また、テレビタレントのイヴァン・ウルガントインスタグラムで「戦争反対」の意思表示をしたために出演番組がオンエアされなかったそうです。日本同様、テレビは厳しそう。

それでも今回は立ち上がらないわけにいかない人たちがロシアには多数います。ロシア人というだけでプーチンの仲間と思わないように、そこんところをしっかり見据えておいた方がいいのですが、なにしろロシアはキリル文字なので、馴染みがない人は調べるのも一苦労でしょう。その点私はキリル文字に馴染んでますので(ロシア語はまったくわからんのですが)、ざっとロシア国内の抵抗運動をまとめておくことにしました。

 

先週は盛り上がっているように見えたロシア国内の反戦デモですが、先週末を最後にパタッと情報が消えました。少人数による行動は続いているとも報じられていて、今週末はまた大きな動きがあるかもしれないですが、相当に弾圧が厳しそうです。

以下は先週の土曜日か日曜日です。

 

 

報道の規制やインターネットの規制も強まっているようです。

以下も先週末。「目覚めよ!」「これは戦争だ」「プーチンはクズだ」と書かれた車がモスクワで炎上。

 

 

平和的なデモさえ許されない社会では、それを超える方法をとるのが出てきてしまいます。

沈静化しかねない空気、あるいは激化しかねない空気の中で、獄中のアレクセイ・ナワルニーがデモの呼びかけをしています。

 

 

「プーチンはロシアではない。ロシアでもっとも尊敬できる人たちは路上でプラカードを出している人たちだ」とし、平日は午後7時から、休みの日は午後2時から、毎日デモをしようと呼びかけています。「こんな呼びかけはロシアではできない。しかし、私はもう刑務所にいるのでできるのだ」とも言ってます。

 

 

change.orgの署名が100万人突破

 

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ナワルニーは、国外の人々はロシア大使館に行けとも言ってます。日本でロシア大使館前で抗議することに比べて、ロシア国内の街頭行動は困難ですが、ロシア政府に対して、ウクライナからの即時撤退を求めるchange.orgの署名が100万人を突破しています。

 

 

署名している名前を見ると、キリル文字ではない人もいますが、呼びかけ文がロシア語ですし、ロシア人がネットで呼びかけているのも見ますから、多くはロシアとその周辺国の人たちだと思われます。

侵攻が開始される前からいくつかの署名が始まっていまして、侵攻後もさまざまな署名が始まってます。

以下は文化芸術労働者たちの声明で、3月3日現在で18,000人近くが署名しています。

 

 

 

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