ロシア連邦共産党からまた反戦派が登場し、除名処分に—留まるもよし逃げるもよし-(松沢呉一)
「ロシア国内では何もできないんだろうと思いつつ、「左翼戦線」に注目してみた—ロシア内反プーチン左翼勢力」の続きです。
ヴォロネジの共産党支部で強烈なプーチン批判をした党員がいた
前回はロシアの左翼に着目してみたわけですが、ロシア連邦共産党(以下「共産党」)について書いていた、ちょうどその時、共産党では騒動が巻き起こってました。
戦死したオレグ・チェルヴォフ中佐の地元であるヴォロネジ州の地方議員が議会で発言したということになってますが、これは間違いではなかろうか。
ニーナ・べリャーエワ(Нина Беляева)は「地区評議会(райсовета)の副議員」とあって、この地区評議会は共産党の組織ではなかろうか。彼女はヴォロネジ地区評議会の中のセミルク(Семилук)地区評議会に属していますが、これが問題になったのはヴォロネジ地区評議会です。町議会(セミルク)の問題を州議会(ヴォロネジ)が議論することはあんまりないでしょう。たぶん共産党内部の話であり、セミクルの評議会はヴォロネジの下部組織という位置づけでしょうから、この場合は上位組織が判断をするのは合理的。
この映像も、その評議会での様子だと思われます。議会だと、だいたいどこの国でも、さすがに自撮りして公開するのは禁止じゃないか?
ウクライナ侵攻は犯罪である
彼女はこれまでにもSNSや会議でプーチン批判を繰り返していて、以下の動画の解説部分で、要旨はわかります。
プーチンがソ連復活を目指してクリミアを併合し、ウクライナに侵攻したのは犯罪であると言っていてます。
共産党はクリミア半島の占領も今回の特別軍事作戦にも賛成ですから、この発言は許されず、彼女は全会一致で除名になりました。
さらには23名中20人の賛成で法執行機関へ通報することに。警察にチクるってことかと思います。ゲスいなあ。
前回見たように、クリミア併合に賛成していた共産党所属の国会議員でも、今回の侵攻は反対しているのが複数います。彼らは投稿を削除するだけで処分まではされていないと思いますが、ニーナ・べリャーエワさんはウクライナ側の発表に従って、ロシア軍では14,000人の戦死者が出ていることなどにも触れ、プーチンの犯罪だとしていることから軽い処分では済まなかったのでありましょう。
その内容を自ら公開していることから、実刑になるかもしれない。
※2022年3月26日付「DW」 独DWのロシア語記事。これによると、地区評議会は共産党内部の組織であるように読めます。
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