ウクライナ人が避難するなら、すでに多数迎え入れている自治体が安全確実—その筆頭は福岡県-(松沢呉一)
「ウクライナ人が日本に避難するとしたら、どの都道府県のどの市町村がいいか—その選択で環境は大きく違ってくる」の続きです。
他にウクライナ人がいない市町村へ
前回書いたように、私はよく「もしウクライナ人だったら、どこの国に避難するのか」「日本に避難することになったら、どの都道府県のどの市町村にするのか」というシミュレーションをやっています。
性格的に、「多くのウクライナ人がすでに避難している場所」は避けて、「ウクライナ人がいない場所」を私は選択しそうです。数が多いと手が回らず、リソースの多くはまず子どもたちに割かれますから、私のような役に立たない単身老人(の手前)は最後の最後になりやすい。私自身、そういう扱いは当然だと思いますので、負担を分散させる意味でも、ライバルのいないところに行きたい。
また、援助を受けるだけでなく、自立するために仕事を探す段になっても、ライバルがいない場所の方がいい。雇う側の気持ちになれば、若い人を雇いたいでしょう。
栃木県、和歌山県、島根県、香川県あたりはまだ誰も避難していないので狙い目です。都道府県の受入者数は法務省が出している「都道府県別ウクライナ避難民在留者数」を参照のこと(日本に来ているウクライナ人の3分の1は把握できておらず、私の記憶では「受け入れていたはず」という県が受け入れていないことになっていたりします。ひとたび落ち着いたあと、別の都道府県に移動していることもありますから、正確な把握は難しいのでしょう)。
あるいはすでに避難している県でも、避難している市町村を避けて、誰もいない市町村に行きます。支援体制を独占ですぜ。
それを狙ったわけではないですが、新潟県小千谷市に避難してきたこの夫婦は、結果としてそんな感じじゃないでしょうか。
新潟県へ避難したのはこの2人だけだと思われます(「都道府県別ウクライナ避難民在留者数」でも、新潟県のサイト「ウクライナ避難民支援について」でも確認できます)。新潟県民の愛を独占。
教職員住宅ってことは、彼らは英語講師でもやるんでしょうかね。これが可能になったのは地元の人たちの会が動いてくれたからです。あとは日本語で日常会話ができるようになることです。運良く私の場合、日本語が話せるので、その点は心配がない(また「現実の私」と「仮想の私」がごっちゃになってます)。
熊本県玉東町は狙い目
熊本県玉東町も素晴らしい環境です。
この町営住宅は新築っぽい。ムチャクチャいいな。受け入れ体制はできているのに、人がまだ来ていない。これは狙い目。
人口が減って消滅の危機にある町村がこの機会にウクライナ人を呼ぶケースもあるかもしれない。そこに乗っかるのもありじゃね。
より確実なのは、多数を受け入れている自治体
私の場合も、そういった自治体で歓迎される可能性が少しはありますが、そもそも誰も来ていない自治体の多くは支援体制なんてもんがなかったりします。どうしていいのかわからず、自治体も途方に暮れます。小さい市町村だと、窓口がない、担当者がいない、公営住宅の空きがない。予算もない。援助する企業も雇用する企業もない。
実際にそういう環境に行ってしまったウクライナ人もいます。周りに相談できるウクライナ人がおらず、日本人の家に居候しつつ、孤立してしまっているように見えるケースがあるのです。メシは食わせてもらえるとしても不安だと思います。そうしている間にも着々ビザを無為に消費していくわけで、早くウクライナに帰りたいと念ずる日々ではなかろうか。
受け入れ先の日本人がしっかりしていないと、行政や企業との交渉も進まない。しっかりしていても、前例がないとスムーズにいかない。
それよりも多数のウクライナ人を受け入れている自治体の方が何かとスムーズです。
「都道府県別ウクライナ避難民在留者数」から、受け入れ者数が多い都道府県を並べてみました。
1)東京都/180
2)福岡県/96
3)神奈川県/61
4)千葉県/54
5)愛知県/53
6)兵庫県/48
7)大阪府/38
8)埼玉県/28
8)広島県/28
10)大分県/24
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