松沢呉一のビバノン・ライフ

熊本市の銭湯放火事件でひっかかる点—東京都では入浴券と入浴料値上げ-(松沢呉一)

 

熊本の銭湯を放火しようとした人物は何を考えていたのか

 

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火を使う施設ですから、銭湯にも火災はありますけど、湿気が多く、大量に水を使うので、火がついても広がらないような気がします。実際どうかは別にして、そういうイメージがあるのに、どうして放火しようと思ったのでしょうか。

 

 

 

銭湯の関係者は放火犯を目撃したわけではなくて、火に気づいて消し止めただけです。容疑者は防犯カメラの映像から特定されて、なお容疑を否定しているので、本当に彼が犯人なのかどうかまだわからんですけど、彼であろうと誰であろうと、銭湯に火をつけようとした動機が不明です。

空き家、ゴミ集積場など、外から放火しやすい、つまり不法侵入するまでもなく火をつけられ、火が広がりやすい場所は他にさまざまあるのに、なぜ銭湯か。どこでもいいからただ火をつけかったのではなくて、この銭湯に何か恨みでもあったのか。

しかも犯行は夜の9時半ということです。犯行翌日の報道では、営業時間中だとしています。

 

 

最期に出てくる幟がウクライナカラー。

この日は水曜日で、前日が定休日。午後11時までの営業ですから、客の出入りもあります。銭湯は営業が終わったあと、2時間から3時間は掃除やタオルの洗濯をしているため、深夜でも人がいて、放火しにくい施設ですが、まして営業時間中は出入りが多くて、放火には適さない。事実、不審者が目撃されているので、計画性のある慎重な犯行とは思いにくい。

6月15日の熊本市の最高気温は28度ですから、夜、蒸し暑くて、ビールを飲んでいるうちにムシャクシャして衝動的にやったわけでもなさそうです。

どうも不自然な点、不可解な点が目立つので、「容疑者が本当にやったのか」「そもそも本当に放火なのか」から警察は慎重に調べて欲しい。この事件については引続き気にしていようと思います。

 

 

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