「自分はいいけど、他人はダメ」のダブルスタンダードは恥ずかしい—Colabo
暇空茜[傍流編29]-(松沢呉一)-[無料記事]
「ドイツの「犠牲者化」と日本の「女子供バイアス」—Colabo×暇空茜[傍流編28]」の続きです。
外遊先での公用車の利用
まずはこれ。
外遊先で岸田文雄首相の息子であり、首相秘書官である岸田翔太郎が公用車で観光していたという話も出ていますが、これはまだ確認が取れていないようなので外すとして、土産を買うための公用車利用だけ取り上げます。
「懲戒の基準」シリーズでも出てきましたが、会社員でも公務員でも、出張先では公務とプライベートの線引きが難しくなります。例えば食事代はすべて経費になることも多いでしょう。家にいれば自炊をして安く済ませることができるのに、出張先ではそうはいかないため、仕事の前に食べる朝食も、仕事のあとで食べる夕食も仕事の延長。では、メシの後で酒を飲みに行くことも経費かというと、そうはならない(そうなる会社もあるでしょうが)。難しいっすね。
はっきりとした基準はないのかもしれないですが、出張先では、私的な買い物でも、自家用車を使えない状態ですから、公用車を使うことまで容認されるべきという考え方もありそうです。
また、閣僚たちへの土産は慣習化されていて、買い物代金は自腹にしても、買わないわけにはいかないもののようです。ふだんの生活では必要のない土産を買わないわけにはいかないとなれば、公用車までは使ってもいいという判断も理解できます。
だからと言って、胸を張って「こんなん、許容範囲だ」とも言えないので、私は判断保留。
これに対して、自分の子どもの送り迎えや親を駅まで送るのに公用車を使うことはアウトです。しかし、金子恵美衆議院議員(当時)の公用車の私的流用を容認した人たちは、岸田首相の息子の公用車利用は容認するのが筋ではなかろうか。「女の役割は育児であり、議員になっても自分で育児をするのは当然。ベビーシッターを雇うべきではないのだから、公用車を使っていい」という論理だったのだろうと思いますが、それほど緩い運用が許されるなら、土産を買いに行くのもいいし、観光だっていい。
岸田首相に肩入れするつもりはまるでないですが、こういうのは自分の政治姿勢や好き嫌いとは別に判断できるようにしておかないと、無意識のうちにダブルスタンダードをやってしまいがちです。
神原元弁護士のダブスタ
すでに多くの人が指摘しているように、神原元弁護士のダブスタは相当に恥ずかしい。
弁護士費用をカンパ(クラファンでも同じ)に無闇に頼る風潮は、とても問題だ。
最大の問題は、弁護士業務による受益者と出捐者が一致しない点だ。
弁護士は依頼者の利益を守るのがその使命。ところが、カンパに頼ると弁護士は依頼者とともに出資者の顔色を見ざる得なくなり、弁護士倫理と矛盾する。
— 弁護士神原元 (@kambara7) July 16, 2022
このツイートはさらに続いていて、「裁判費用についてカンパに頼ると、特に原告の場合、裁判にかける弁護士のモチベーションも下がるリスクもある」「カンパからお金を受け取った弁護士は依頼者に対して無責任になるリスクがあるのだ」などと言っております。
「カンパなりクラファンで裁判をすることを全て否定するつもりはない」とも書いていますが、そのツイートでは「無闇にカンパに頼るのは慎重であるべき」とまとめています。
ご立派だと思いますが、カンパは原告なり被告なりの判断に影響することがあっても、自分はその判断に従うだけと考える弁護士の方が多そうですから、ここに書かれたようなリスクに該当する弁護士は相当に少ないのではなかろうか。結局のところ、神原弁護士は自分は出資者の顔色を見るし、モチベーションが下がる可能性があると告白しているに過ぎないように思えます。
で、1月28日付のColaboからの「裁判費用カンパのお願い」。
「1月4日に東京都に対する監査結果が公表され、Colaboとしては当然の結果でありますが、不正がなかったことが明らかになりました」はデマ。不正かどうかを判定することもできない粗雑な精算がなされていたため、再調査を監査委員会は勧告しています。なお結論は出ていないわけですが、不正があった可能性はむしろ高まったと言えます。
デマではない自分らへの批判をデマとしながら、自らデマを垂れ流し続ける鮮やかなダブスタです。
裁判費用のカンパを集め始めたために、神原弁護士のモチベーションが落ちそうですから、弁護団から外した方がいいんじゃないですかね。
神原元弁護士の意見を聞くことなく、Colaboが勝手にカンパを始めた可能性もありそうで、その場合、神原元弁護士は自ら辞任するのが筋です。
それがなされていない現時点では、「他者を攻撃したり、揶揄したりする時にはカンパの問題点を最大限拡大するのに対して、自分がカンパによって金を得る時には問題点を最大限小さく見積もって、顧慮する必要はない」ということなのだろうと思うしかない。
「自分はいいけど、他人はダメ」「自陣営はいいけど、敵陣営はダメ」はもっとも起きやすいダブスタですが、もっとも恥ずかしいダブスタでもあります。
自分の発言に責任を取れるのかどうか、見どころがまた一つ増えました。
Colaboがカンパを求めた事情
明細も発表されそうにないカンパでも協力したい人は自由にするといいと思いますが、暇空茜が裁判費用としてカンパを集めていることを批判しているColabo擁護派は少なくなかったはずです。この人たちはColaboに対しても批判しなけれけばダブスタになりますので、形だけでも批判して、体裁を取り繕った方がいいかと思います。
そもそもColaboのカンパは意味不明です。訴訟費用も出せないのに大弁護団を組織したんか。
巷間囁かれているように、見込みが完全に外れた結果と見るのがスムーズです。議員会館で記者会見をやって、勝てそうなところだけ訴訟にし、損害賠償金を10万円くらいゲットしたことを大々的に喧伝すれば、検証能力のない人々は騙されて、仁藤夢乃≒Colaboへの批判は鎮まるという計算だったのでしょうけど、記者会見によって、むしろ批判を倍増させました。その結果、暇空茜への記録的なカンパを実現させ、遂には弁護団の弁護士たちが訴えられる事態を迎えてしまいました。
賠償金がいくらになるかわからないですが、Colaboは無防備な発言をした弁護士たちに蓄えを使いたくなく、カンパを求めたということでしょうか。委託金の返却と追徴金で数千万単位が出ていくことが確定的になったと判断するところに至った可能性もありそうですしね。
続きます。