世界の味覚が変化しつつある—日本食ブームとその本質[4](最終回)-(松沢呉一)
「無形文化遺産登録/日本版ミシュラン/アニメ/店舗の海外進出/デリバリー—日本食ブームとその本質[3]」の続きです。
半数以上が週に一回以上日本食を食べている!
以上のような複数の理由から、自国においても日本食は身近な存在になっていて、農林中金の調査でもそのことがよくわかります。
以下は、「普段、自国で日本食をどのくらいの頻度で食べるか」という質問に対する回答。
もっとも多いのは「一週間に一度程度」で、22.8パーセント。それ以上食べている人たちをすべて合わせると、半数以上になります。「なんちゃって日本料理」を含めてのことですが、驚きの数字です。
スパゲティとピザがあるので、日本において「なんちゃってイタリア料理」を含めたイタリア料理を食べる頻度もそれくらい、あるいはそれ以上になりそうです。「なんちゃって中華料理」も同様でしょう。それらに匹敵するくらい日本に来た経験のある人たちは日本食を食べているとは思いませんでした。
「素晴らしいラーメン」に必要なもの
日本食に慣れることによって大きな変化が起きていることは想像に難くない。たとえばわさびだったり、柚子胡椒だったり、ポン酢だったり、キューピーのマヨネーズだったり、調味料系のものも手に入りやすくなっています。さらにはダシです。
日本食を自分で作っている人たちの動画を見ると、昆布でダシをとっている人もいるし、顆粒のだしの素を使っている人たちもいます。前回見たNARUTOのラーメン再現動画では、煮干しと昆布と椎茸とかつお節を使ってました。
うまみを意識できるようになった人たちは、日本食を魅力的にしているのはうまみであることに気付かないではいられない。
以下は、ラーメンを探求していくうちにそれに気づいた米人の動画。
Googleがつける広告より、番組内に出てくる広告の方がうざいです。
彼はもともとフランス料理のシェフであり、ラーメンに取り憑かれて自分でラーメンを作っているのですが、「おいしいラーメン」は作れても、「素晴らしいラーメン」までは至れない。自分が作るラーメンには苦味、甘味、酸味、塩味が入っている。でも何かが足りない。それはうまみでした。
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