松沢呉一のビバノン・ライフ

キズを聴きながら、THE FIRST TAKEのピッチ補正について考えた—私は条件つきで録り直しまで容認-(松沢呉一)

 

今年一番嬉しかったこと

 

vivanon_sentence

夏の真っ盛りですが、早くも今年を振り返っておくと、今年もっとも嬉しかったのは、にせぽよが、キズを観るために、6月に名古屋で行われたロック・フェスFREEDOM NAGOYA 2023に行き、キズのキーホルダーを土産に買ってきてくれたことです。さっそく家の鍵につけて愛用しています。

私がキズのファンの最年長かと思っていたのですが、にせぽよによると、私と同じくらいのおっさんが、キズのTシャツを着て踊っていたとのこと。私はライブを観たことがないし、Tシャツも持っていないので、歳はともかくファンの熱意として完全に負けてます。

 

4ヶ月前に公開されたMVですが、これがたぶん最新曲。

 

 

「声が高くて得をするのはJKと接客業と声優くらい」と書きましたが、ヴォーカリストも入れていいか。男女ともに。

来夢はファルセットも使っていると思うのですが、高音部も声が太すぎ、強すぎ、ヴィブラートもかかっていて、どこからどこまでがなんなのかさっぱりわからん。

前に取り上げたYouTube「一撃」シリーズは、来夢がヴィジュアル系ゲスト・ヴォーカリストを迎えて、キズの曲を一緒に歌うもので、THE FIRST TAKEにインスパイアされたと思われ、一発録りです。ゲストも歌がうまいもん揃いなのですが、ふだん一緒に歌っているわけではなく、とくにゲストにとっては持ち歌ではないので、THE FIRST TAKEよりも難しいはず。

リハーサルはやっていそうですし、完璧とは言えないこともありますが、「一撃」を観ると来夢の歌の凄さがよくわかります。にせぽよは「ライブでもあのまんまの歌だった」と驚愕してました。

ジャンルとしては白塗りヴィジュアル系ですし、不吉な歌詞やMVが多いですから、その段階で拒否する人も多いと思うのですが、キズは広く聴かれていいと思います。歌詞も吟味すると、他にない高みに到達していることは「新しい学校のリーダーズ、八十八ヶ所巡礼、キズ—プチ新年会で聴いた曲」に書いた通り。しかし、歌詞を吟味しないとわからんですわね。

ヴィジュアル系の外に届けるため、THE FIRST TAKEに呼ばれるといいのですが、売れているか、話題性があるか、事務所が強いかしないと難しそうなので、アニメの主題歌に起用されて欲しい。

ここまでは前振りです。

 

 

THE FIRST TAKEのピッチ補正疑惑について

 

vivanon_sentence

ちょっと間に、THE FIRST TAKEは、あとからピッチ補正しているという疑惑が話題になっていたじゃないですか。

これについて私は相当に寛大です。THE FIRST TAKEでピッチ補正しているのはやらせだという批判も出てましたが、全然違います。

 

 

next_vivanon

(残り 1446文字/全文: 2653文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ