捨てられたイタジャガ、血塗れの男、昼か夜かわからなくなった老人—深夜実感するホロライブの浸透-(松沢呉一)
ホロライブの黒歴史第二弾が進行していることに対して、とくに古参のファンの間で、カバー(株)に対する不信感、不快感が広がっています。これについては、また改めて。
バンダイ「イタジャガ」feat.ホロライブ
木曜日の早い時間、しぐれうい(9さい)「粛聖!! ロリ神レクイエム☆」がYouTubeで7,000万再生回数を達成。6,000万再生回数から1ヶ月近くかかってまして、さすがにペースが落ちてます。1ヶ月前の勢いだと、今年中に8,000万再生回数に達するはずでしたが、来年に持ち越し。
その後も、VTuberのMVがYouTub広告によく表示されますし、VTuberのMVで1千万再生回数を超えているのは全然珍しくなくなってます。ホロライブだけでもオリジナル、カバーを合わせて30曲くらいありそうです。
7,000万再生回数を達成した日の夜、バイト先に向かう道端に名刺よりちょっと大きな袋が大量に捨てられているのを発見しました。すぐにプリントされているのがホロライブだと気づきました。
これです。
バンダイのサイトに写真が出ていますが、イタジャガは、板状のえびせんみたいなお菓子がひとつと、シールが一枚入って130円。これなら、ブラックサンダーを4つ買った方が腹が膨れるじゃろ。チョコも所詮お菓子ですが、値上げするまで、マクドナルのハンバーガーとチキンクリプスが長らく130円だったはず。
腹を膨らませるためにイタジャガを買う人はおらんか。事実、これらの袋はシールが抜かれ、お菓子はそのままでした。箱買いしたのだと思います。
ビックリマンチョコの時代から、シール欲しさで買って、チョコを食べずに捨てることが問題になり、最近は韓国で。シール付きポケモンパンが食べられないまま捨てられることが問題となりました。自分の金で買ったものをどうしようと勝手ですが、買ったら食えよ。
「K-POPは日本の芸能界と親和性が高い—日本レコード大賞とともに終焉する芸能界商法[後編]」に韓国で買われたCDの8割は聴かれずに捨てられていると書きました。特典欲しさだったり、チャートの順位を上げるための組織買いだったり。これも韓国で問題になっているのですが、3千円のCDを聴かずに捨てることより、130円のお菓子を食べずに捨てることの方が罪深いように感じます。
箱買いすると、すぐさますべての袋を開けて、誰のシールが入っているかを確認するでしょうが、1日で湿気って不味くなりそうです。その場合、ハムスターを買ってきて、湿気ったイタジャガを食わせます。そのくらい私は食い物を粗末にできない。
このシールは、オリジナルに「かわいい」という方向で大幅にアレンジを加えていて、私にはピンとこず、これだったら、トレーディングカードを買った方が食べ物を無駄にしないで済みますが、ファンはどんなもので揃えたくなるのでしょう。
「白塗りバンドが見せるファンタジー—ジャニーズ事務所のマネージメントとVTuberのマネージメント[10]」に、身近なところにVTuberがいることがわかって驚いた話を書きましたが、どの町内にも1人VTuberがいるとしたら、少なくともその何十倍は町内にファンがいることを思い知らされました。
血塗れの男に病院を聞かれた
この日、バイトを終えて家に帰る途中、駅前を通りかかったところで、顔と手を血塗れにした白人が近寄ってきて、私は身構えました。
「病院を知ってますか?」
たどたどしい日本語でそう聞いてきました。口から今も血が出ていて、真っ赤な手は口を拭ったものだと思われます。その手を下げると服に付くので、手を体の前に浮かせています。
(残り 1493文字/全文: 3042文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ