自転車の数は日本の7分の1なのに自転車事故の死亡者は7倍—韓国でたびたび起きる「後進国型事故」[追記編6]-(松沢呉一)
「自転車に乗れない韓国人は珍しくない—韓国でたびたび起きる「後進国型事故」[追記編5]」の続きです。
役に立たない韓国の自転車専用レーン
韓国で自転車を利用する人が少ない要因のひとつとして、道路事情があります。人が密集するソウルでは、駐車場を確保できないために車庫証明を必要とせず、路駐で道が塞がれています。歩道の確保も十分ではない。こんな状態で自転車が走るのは危険で、事実、自転車台数が少ないのに自転車が関与する事故が多いのです。
2018年から2022年までの5年間で死亡者は959人、負傷者は57,706人(この数は自転車に乗った人のようで、自転車に跳ね飛ばされた歩行者はおそらく含まれていない)。対して、日本では同5年間で死亡者は141人、負傷者は56,393人。自転車の数は少ないのに、死者数は7倍近い。
負傷者の数は日本とほとんど変わらないのに対して、死亡者の数が多い事情はよくわからないですが、YouTuberたちがよく言っているように、韓国では乱暴な運転が多いことに関係しているのかもしれない。事故りやすく、死にやすい。
近年、韓国、とくにソウルでは大気汚染が深刻で、健康被害も憂慮されています。
韓国では中国から煤塵が流れてくるのが原因とされていて、対中国感情悪化の一因にもなってますが、中国は韓国自身の排ガスが最大要因だと指摘しています。中国発の煤煙もあるのでしょうが、主たる原因は国内にあるのは事実のようです。今までは、発展途上の国として、CO2排出についても見逃されてきましたが、先進国基準を満たす必要がでできたこともあって、韓国政府は慌てて自転車を推奨し始めているのですが、道路事情が改善されない限り、安心して自転車に乗れない。
以下は韓国オリジナルのウィキペディア的な辞書namu.wikiより。
自転車が走りやすくなるように、専用レーンを無理矢理設置したものの、まったく機能していないことをよく見せてくれています。
右の写真はまだしもとして、左の写真のように、一車線分、路駐で潰れている道路が多いので、これをなんとかしないと根本解決になりません。しかし、人口集中を解消しない限り、路駐を解消できないのです。
韓国の悪路
もうひとつ韓国では自転車に向かない道路事情があります。これもよくYouTuberが指摘していますが、韓国と日本では、自動車の乗り心地が違う。韓国の道は凸凹が多いのだと。
10年前のものであり、とくにひどい箇所だから晒したのであって、どこもかしこもこんな状態ではないでしょうけど、冬には道路の凹凸が招いた事故も起きてますから、道路整備が十分とはとても言えそうにありません。
(残り 1252文字/全文: 2459文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ