松沢呉一のビバノン・ライフ

中国共産党除けのくまのプーさんがロンドンでも活躍—日本では「港区放尿女子」が世間を騒がせ、英国では「小粉紅」が世界を呆れさせた[1]-(松沢呉一)

 

魔除けのプーさん、ロンドンに登場

 

vivanon_sentence

この件はもっと早く出したかったのですが、答えがはっきりするまで待つかと思っているうちに遅くなりました。英国においても、メディアや特定班が今も調査を続けているところで、真相はなおわからないのですが、すげえ面白いことになっているので、ここまでをまとめておきます。

まず数時間前に公開された動画。

 

 

マイクを差し出しているNTD新唐人電視台法輪功系とされるメディアです。くまのプーさんを手にして取材を受けているのはドクターKことブレンダン・カヴァナー。彼は人気ピアニストであり、日本にもいっぱいいるストリート・ピアノを弾くYouTuberとしても知られ、登録者数230万人。この動画は彼がNTDの取材を受けている様子を彼自身が投稿したものです(別のYouTuberが撮影したものを転載)。

くまのプーさんは中国共産党支持者に対するニンニクのようなものだと彼は説明しています。台湾人のアドバイスで東中野「西太后」で活躍した魔除けのプーさんについては英国でも少しは報じられていたのですが、ドクターKを含めて、多くの人は知らず、今回も台湾人が教えたようです。これによって、くまのプーさんは、英国でも自由の象徴になりました。

 

 

英国で中国の法に従うことを求める中国人たち

 

vivanon_sentence今回の騒動は、1月19日に勃発。

 

 

ドクターKは、ロンドンのセント・パンクラス駅構内に設置されたストリート・ピアノを弾いているところを生配信していました。あのピアノはエルトン・ジョンが寄贈したものだそうです。

ここに中国人の女がやってきて、「中国のテレビだが、自分らを撮らないで欲しい」と言い出します。ドクターKを撮っているのであり、中国人の集団は背景です。日本と同じく、英国でも、公共の場での撮影に映り込んでくる人についての肖像権は守られません。特定の人物をクローズアップした時には問題になり得ますが、英国ではこれも慣習的に容認されていて、しつこく追い回して初めて問題になるようです。

文句を言ってきた人物は自ら近寄ってきてますから、これも問題なし。顔を公開されたくないなら、ここから離れればいいだけです。

ドクターKが当惑していると、女は「中国には肖像権がある。それを守れ」などと言い出し、ドクターKは「ここは英国だ。共産主義の国ではない。自由の国だ」と反論。

ドクターKは最初彼らは日本人だと勘違いしていたのですが(これには事情がある。詳しくは次回)、このやりとりで中国人であることがわかってきて、さらに別の女が五星紅旗を手にしていることに気づいて、それをよく見ようとして手を伸ばしたところで、横にいた男が「彼女に触るな」と大きな声で恫喝し、何ら差別的なことを言っていないのに「差別だ」と言い、彼は法的手続きをとるとも言います。

やがて警官がやってきて、中国人グループを引き離しました。ところが、その中の婦人警官が中国人の代弁者となって、動画を消すように求めました。

というのが顛末で、これを英メディアが大きく取り上げ、他の国にも広がって中国人たちが他国でも我が物顔で振る舞う様が批判されています。

動画は800万回以上再生されて、なお数字は伸び続けています。ドクターKが「中国人たちはYouTubeに削除依頼を出すだろうから、ダウンロードして拡散して欲しい」と呼びかけたため、コピー版があちこちに投稿されています。

 

 

next_vivanon

(残り 1369文字/全文: 2913文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ