松沢呉一のビバノン・ライフ

エスカレーター逆走事故が日本の数倍起きている—韓国でたびたび起きる「後進国型事故」[追記編4]-(松沢呉一)

犬食禁止特別法に見る韓国の法律観—韓国でたびたび起きる「後進国型事故」[追記編3]」の続きです。

 

 

韓国で恒例の「エスカレーター逆走事故」

 

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今年に入って大規模な災害、事故が続いたため、朝鮮半島の緊張が高まっていることに気が回らない。と言いながらチェックはしていて、金正恩の動きに震撼していますが、私なんぞが論評できることではないので、私が論評できる範囲のことを続けます。

銭湯が好きで、今は銭湯がバイト先でもある私は、韓国の銭湯で感電死事故がたびたび起きている事実は衝撃でした。「なんでこうなるかな」という疑問から、法律があっても運用に欠陥があるらしきことがわかってきます。

これはほぼ間違いなくて、感電死だけでなく、他の事故でも韓国のこの欠陥が原因になってそうです。

 

 

2023年12月4日、負傷者を出したエスカレーターの逆走事故の原因を調査した結果、老朽化した減速機が起こしたと判明。改めて調べてみたところ、地下鉄に使用されているエスカレーターの58%で、同様に減速機が老朽化していることがわかり、逆走防止装置も設置することにしたという内容。

韓国の地下鉄では6月にも逆走事故が起きていて、3名が重傷。

事故例が多すぎるので、2010年以降に絞って調べると、2012年、2013年、2014年、2017年、2018年、2019年にも逆走事故が起きて、怪我人が出ています。いずれも死者は出ていないようですが、重傷、重体の人はちらほら出ています。そのたびに老朽化や不十分な定期検査が指摘されていて、記事を使い回しているのか?

見つけられただけで負傷者が出た逆走事故は8件。おそらくこの何倍も人身被害のない故障が起きているでしょう。

銭湯でもエスカレーターでも「後進国型事故」が定例化しているのです(念のために再度確認しておきますが、「後進国型事故」は韓国のニュース番組のアナウンサーが使用していた用語です)。だったら、韓国は今も後進国なのでは?

 

 

日本のエスカレーターでの事故を見る

 

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日本ではエスカレーターの事故がどのくらい起きているのでありましょう。

毎年調べられているわけではないのですが、平成15年(2003)1月1日から翌年年3月31日までの1年3ヶ月の間に東京消防庁管轄区域内のエスカレーターでの事故を調査した報告書「エスカレーターに係る事故防止対策」があります。これによると、1,014人が負傷。「そんなにかっ!」と驚いたのですが、あくまで「エスカレーターに係る事故」であり、「エスカレーターの事故」だけではありません。

この多くは高齢者か、酒に酔った人がエスカレーターで転倒して負傷したものであり、そのうちエスカレーター自体の故障や欠陥によるものがどれだけあったのかは不明です(この期間に起きたエスカレーター自体に起因する事故を探しても出てこないので、ゼロかも)。

 

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