松沢呉一のビバノン・ライフ

神戸大学がBAD BOYSにどういう懲戒処分を下すか予想する—懲戒の基準[53]-(松沢呉一)

 

神戸大の処分に注目が集まる

 

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最近の迷惑系としては、車椅子インフルエンサーと並んで、神戸大学バドミントン同好会「BAD BOYS」が話題です。

 

 

ここまでの騒動になった以上、大学が「厳正な対処」を実行することが期待できます。

しかし、学生の不祥事に対して、学校がどう処分するのが適切であるのかをあらかじめ理解しておかないと、過剰な処分を求め、それが叶えられないと大学を攻撃するような輩も出てきます。

「懲戒の基準」シリーズで詳しく見てきましたが、念のために確認しておくと、会社員や学生が不祥事を起こした場合、その行為に対する処罰は法に基づいて為されます。企業や学校の懲戒は、その行為を直接罰する刑罰ではなく、企業や大学が求める社員や学生に求める規範に反する行為に対する処分であり、その規範は就業規則や就学規則に定められていなければなりません。企業や学校が気に食わないからと適当に処分していいわけがありませんから。

よって、第三者から見て、いかにひどいことをやっても、時には法に反することをやっても、職場や学校から処分がなされないこともありますし、規定にない懲戒処分は訴えられたら負けます。

今回の「事件」については、富山県砺波市の旅館が被害届を今のところは出しておらず、示談交渉しているところのようで、学生は前科をつけたくないでしょうから、営業できない期間の補償まで支払うと思われます。

よって刑事事件化する可能性は低いため、強く制裁したい世論としては、「一人数万円程度で済ませていいのか」との声も大きく、その分、神戸大への期待が増大してますが、神戸大がどういう規則にしているかを確認しないと判断できません。

では、確認してみましょう。

✳︎神戸大学のサイトより、「学生の不適切な行為についてのお詫び

 

 

神戸大学の懲戒処分規定

 

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合宿に参加していたのは、1年生が12名、2年生が12名、3年生13名、4年生14名、修士1年が4名、修士2年が6名、既卒が1名の計62名。

このうち、既卒は神戸大による懲戒の対象外ですので(勤務先からの処分はあり得るとして)、61名が神戸大学の懲戒処分対象です。ただし、あの騒動の現場におらず、別の部屋で飲んでいたり、酒を飲まないメンツで別の部屋で茶を飲んでいたり、体調を崩して寝ていたのがいたら対象外になりそうです。

また、過去にも同様の行為を繰り返していたようですから、今回の合宿に参加していなかったサークル員、元サークル員も対象になるかもしれない。当然、顧問の宋明良教授も監督責任を問われましょう。

懲戒については、神戸大学教学規則にこう定められています。

 

第 55 条の 2 本学の規定に違背し,学生の本分を守らない者があるときは,所定の手続により学長が懲戒する。 2 懲戒は,訓告,停学及び懲戒退学とする。 3 停学 3 か月以上にわたるときは,その期間は,第 22 条の修業年限に算入しない。 4 前 3 項に関し必要な事項は,神戸大学学生懲戒規則(平成 16年4月1 日制定)で定める。

 

同様の規定は「神戸大学教学規則」にも同様の規定がありますが、省略。

 

神戸大学学生懲戒規則にはこうあります。

 

(懲戒)
第2条 懲戒は,本学の規律に違反し,学生としての本分を守らない者があるときに行われるものとする。
(懲戒の内容)
第3条 懲戒の内容は,次のとおりとする。
 (1) 訓告 文書により注意を与え,将来を戒めること。
 (2) 停学 有期又は無期とし,この間の登校及び次の行為を禁止すること。
(略)
 (3) 懲戒退学 命令により退学させ,再入学を認めないこと

 

同規則は、もっぱら懲戒の手続きを定めたもので、非違行為についての具体的基準は出ていません。ないはずはないのですが、公開されていないようです。

 

 

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