松沢呉一のビバノン・ライフ

習近平に比べればプーチンの独裁は不徹底—ロシアのテロと中国で行方不明の胡士雲・神戸学院大学教授-(松沢呉一)

 

ルカシェンコ大統領の発言は意図したものか、あるいは失言か

 

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なお死者数が増えていますが、ロシアのコンサート会場乱射事件の犯人グループはISIS-Kだと判明して、ロシア国内でもそう報じられています。なのに、プーチンはまだウクライナが背後にいると言ってます。どうやってそのふたつのストーリーをつなげているのかさっぱりわからんですが、ボルトニコフFSB長官は「ISISが主導し、背後にウクライナ以外に英米がいる」と示唆してます。国家首脳総出でバカをやってます。

ここでベラルーシのルカシェンコ大統領が「お前らのウソにはつき合い切れない」とばかりに強烈な一打をかましました。

 

 

犯人たちが当初ベラルーシを目指していたことをプーチンは知っていたことをバラしてやんの。ウクライナや英米が背後にいるのに、なんでベラルーシに向かったんだべな。

これに対して、ロシアはベラルーシとの国境警備を強化し、犯人グループはベラルーシからウクライナに変更したのだと。

ルカシェンコは最後はロシア寄りで着地するにせよ、単純に従うことはしないのですが、今回の発言は駆け引きを狙っているのではなく、「いくらなんでも、おめえらにはついていけねえよ」ってところか。

国内メディアでさえも、ウクライナの関与を疑問視しており、そこに盟友の裏切りが加わった形。ことによると、これ以上、プーチンに追従してもメリットがないと判断して引導を渡したか。

今回のテロでロシア国内に大きな動揺が生じていて、敵はウクライナだけではないこと、米国はそのことを事前に察知していて、ロシアに警告していたのに無視し、適切な対策を講じなかったこと、今後もテロが続く可能性があることから、政権に対する不信が高まるでしょう。

これに加えて一連の精油所に対するウクライナの攻撃によって石油製品が高騰。私の読みではもっと落ちるはずでしたが、精油能力の10パーセント以上低下したと言われてます。攻撃された製油所が100パーセント操業停止したわけではないので、こんなもんか。こんなもんでも、すでに電力供給が安定しない中では生活の不便さが増し、ただでさえ物価高騰に喘いでいる国民の困窮は限界に達します。

25日にはクリミアのセバストポリで、ロシアの揚陸艦2隻が攻撃を受け(被害状況は不明)、あっちもこっちも火がついているので、「戦争やめろ」に転じる人も出てきそうです。ナワルニーの死で反プーチン派の中には弔い合戦を決意したのもいるでしょうから、何か事を起こせば、今まで参加しなかった層が参加しそう。

その時に国外のナワルニーの妻ユリア・ナヴァルナヤが求心力になれるかどうか。

✳︎2024年3月25日付「ロイター

 

 

胡士雲・神戸学院大学教授が中国に帰国して行方不明

 

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先日も書いたように、中国に比べると、ロシアの全体主義は不徹底。習近平に比べると、プーチンの独裁は甘い。

ロシアは形だけでも選挙をしているのに対して、中国はそんなことをやるほど民主主義にまったく意味を見出していません。北朝鮮寄り。

プーチン政権を脅かす反体制活動家やジャーナリストが続々死に至り、国外に出ても安心できないのがロシアですが、今回の乱射事件は、国外メディアも取材しています。対して、中国三河市の爆発では、国営放送でさえも取材を妨害されました

ナワルニーは獄中にいても顔を出してメッセージを発信していました。対して、中国では逮捕されても発表されず、どこにいるのかもわからないことがしばしばあります。

 

 

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