松沢呉一のビバノン・ライフ

香港人が呆れる中国人たちの行動—中国人のマナーを鑑賞する[1]-(松沢呉一)

 

河北省三河市の「ガス爆発事故」を取材する国営メディアを警察が妨害

 

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全人代前後に続発した共産党批判と大規模事故をまとめてみた—中南海に車が突入しただけではない」で追記した河北省三河市のガス爆発事故は、当初死者1名になっていたのが、すぐに2名になり、その後7名に。このように、死者の数が短時間で増えるのは中国では珍しく、この数字は事実通りなのかもしれない。

と思ったのも束の間。

 

 

国営メディアの取材を妨害するとは不届きです。中国で頻繁に被害の隠蔽がなされるのは、しばしば地方政府が自分らの責任になることを避けるためです。今回は、北京に近いとは言え、河北省です。取材されて、事実が中央政府にバレることを恐れたのではないか。ということはもっともっと死んでいるのかもしれない。あるいは嘘がバレたから、死者数を増やしたのか?

と疑われるんだから、死者数くらい正確に出せよ。

中国の警察が謝罪することなんてあるんですね。もちろん、これは相手が国営メディアだからであって、国営メディアは中央政府直結です。この辺の力関係は私もよくわかってないですが、中央政府の力が圧倒的に強いことは間違いない。

なお、三河市は北京市の東側に位置し、天津市との間にある長閑なエリア。栄えているのは市の一部であり、観光スポットもありますが、朝なのでそれほど人は多くなかったはずで、これがもし北京だったら大惨事になったでしょう。と中国人が言ってました。今回も十分大惨事ですが。

 

 

香港人が呆れる中国人観光客

 

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昨日、上の報道を観たついでに、中国関連の報道を観たのですが、またも図々しい中国人たちが炎上していました。

 

 

解説にあるように、香港メディアは、以前から、本土の観光客が世界中でやらかしたマナー違反や狼藉を積極的に取り上げていました。「あんな人たちと同じに見られたくない」「一国二制度を維持しろ」という思いも少しはあったにせよ、より単純に、香港人たちにとって、本土の中国人の無神経な野蛮さは耐え難いってことだったでしょう。ただ、本土と一体化しつつある現在は、前者の思いが強まっているかもしれない。

香港メディアが自由を失って、政府批判も本土人批判もしにくい今も、マナー違反についてであれば文句を言われません。なにしろ、習近平政権も、世界中で巻き起こる中国人のマナー欠如に対する批判の声を気にはしているようで、マナーの向上を呼びかけています。メディアが取り上げるのは政府の意に沿っているわけで、国営メディアも中国人のマナー違反を取り上げてますから、香港メディアが取り上げていけないはずがない。

 

 

他人の座席に居座って、指摘されると殴ってくる男

 

vivanon_sentence香港の英字新聞SCMP(South China Morning Post)は、YouTubeのチャンネルでよくマナー違反の中国人を取り上げています。では、そのコレクションから観ていただきましょう。

2020年の作品。

 

 

上海からの列車に乗ったら、男がすでに自分に座席にいて、「あのー、その席は私の席だと思うんですが」と声をかけたら、殴りかかってきたでござる。

 

 

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