松沢呉一のビバノン・ライフ

韓国社会を揺さぶるK-POP業界の内紛と「パリパリ文化」—文化盗用とパクリ[12]-(松沢呉一)

先進国になった韓国のパクリはもう見逃されない—文化盗用とパクリ[11]」の続きです。

 

 

HYBEとミン・ヒジンの泥沼バトル

 

vivanon_sentence

K-POPを牛耳る大手事務所のHYBEと、その傘下レーベルADORのCEOであるミン・ヒジンとの内紛で韓国芸能界は大揺れです。全然興味がないのですが、韓国人YouTuberたちが取り上げているので、「揉めに揉めている」ってことまではわかってます。

中では李ファミリーのこの回がもっともわかりやすい。

 

 

このシリーズは、「そんなことより目の前のメシの方が大事」であるにいちゃんに、なんとか自分が熱中する話題を伝えようと奮闘する妹のドラマが見どころです。そんなことより、このトンカツはうまそう。と観ているこっちも、にいちゃん視点で食い物に魅せられる二重構造になってます。

最後まで見ると、韓国の世論を揺るがせているこの騒動の本質がわかります。ゼニです。どっちも狭量、どっちも強欲すぎないか? 私はどっちの味方でもなく、「どっちも馬鹿だなあ」としか思えない。

修復は不可能ですから、結果、ファン離れが進んで、誰も得をしないことになりそう。互いに利益を独占しようとして、全員が利益を失う結果になることを指すゲーム理論用語があったと思いますが、忘れました。

 

 

K-POPの終焉を象徴する騒動

 

vivanon_sentence

私がこの動画でとくに「あーあ」と嘆いたのは、同じグループ企業の中でパクリをやっていたという部分。振り付けの一部をパクったところで著作権侵害にはならないし、「同じグループ企業だからいいだろう」と軽く考えたことが大事に至りました。

振り付けや衣装をパクっていると潰し合いになるだけで、これも全員が損をする結果をもたらします。実際、私にはここに出てきたアイドルは全部一緒に見えます。いかにもおっさんが言いそうなことを言ってみましたが、韓国でもK-POPを聴くのはもっぱら中高生までなので、韓国のおっさんたちも区別できないと思います。

一方で、K-POPがチャート操作やファンの複数購入で数字的に売れているように見せてきたことがバレて、紅白歌合戦レコード大賞がゴリ押ししたことも反発され、視聴率は最低を記録。全部無関心だった私もこれで興味が出てしまって、「紅白歌合戦もレコード大賞もK-POPとともに地獄に堕ちろ」と願うようになりました。今年の年末には同じことはできないでしょうが、私としては、同じことをやって、さらに地獄に近づけばいいと心から願います。

K-POP業界は、今までのようにはうまくいかないことを悟って、じっくり腰を落ち着けて、ブームから定着に移行していかなければならない時期に起きた今回の内紛騒動は、ただただK-POPの凋落を早めたように思います。紅白歌合戦もレコード大賞も道連れにして欲しい。

✳︎2024年5月13日付「中央日報」 メディア対策はHYBEの方が上なこともあってか、ミン・ヒジン側の背任行為や違法な金銭授受が暴露されていて、逮捕者が出かねない状況になってます。

 

 

next_vivanon

(残り 1026文字/全文: 2362文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »