松沢呉一のビバノン・ライフ

中国の肺炎流行についての「新情報」—中国のマイコプラズマ肺炎流行はなんか変[追加編]-(松沢呉一)

北ヨーロッパで新型コロナの感染者と死者が増加—中国のマイコプラズマ肺炎流行はなんか変[後編]」の続きです。

 

 

浙江省義烏市が食糧備蓄を呼びかけた謎

 

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中国の肺炎蔓延についての動画はあまり参考になるものがなく、ここまでもっぱら文字の報道を使いましたが、昨日、YouTubeが推してきた以下の動画に、新疑惑が出てました。

 

 

 

妙佛さんは、長らく上海で生活していた人物で、中国メディアを日々チェックしているので、日本では報道されていない情報をいち早く取り上げています。

この回では、まず肺炎流行のおさらいです。だいたい私が書いていたこととかぶっているので省略しますが、隔離政策による免疫力の低下や免疫力の獲得失敗が感染症の流行を招く現象を「免疫負債」と呼ぶことを初めて知りました。用語が欲しかったので、以降使用します。

12月3日(妙佛さんは1日と言ってますが、3日と思われます)、浙江省義烏市当局が、一般家庭は10日分以上、法人や食堂は15日分以上の食糧備蓄を呼びかけたという内容がこれに続きます。

補足すると、「市政だより」のようなもので軽く呼びかけたのでなく、義烏市食品安全調整グループ事務所(义乌市粮食安全工作协调小组办公室)が法令に従って発令したものなので、それなりの重みのあるものであり、罰則まではないにせよ、市民も法人も従うのでしょう。

「節約のため」という理由らしく、中国では物価が上昇していますから、それが節約になるなら意味がありますが、1週間やそこらで物価上昇が収まらない限り意味がありません。むしろ、買い占めがまた始まって、値段の釣り上げが起きかねない。

そこで、戦争準備ではないかとの見方も出てきますが、だとしたら、中国全土で実施しないと意味がない。

ということから、肺炎の流行を踏まえて、再度ロックダウンが始まるとの見方が最有力。この場合は、義烏市の病院にも患者が詰めかけるなどして収拾がつかなくなっているとか、とくに新型コロナの感染者が急増とか、他地域に先行して前兆があって準備を始めてもおかしくない。

しかし、ロックダウンを再度やったら、またもその後、免疫負債による感染症の流行を招くことになります。負債はいつか返済しないと、どんどん膨れ上がって、現在の中国経済のようになります。

長期の展望を持って対策を講じることができない中国はその愚行を繰り返すのだとしても、他の国は笑って見ていればいいと思います。

2023年12月4日付「深圳新聞網」より、義烏市から発令された備蓄令だと思われる文書。義烏市のサイトからは消えているようです。この記事はインターネットで飛び交う憶測を鎮めるためのものであり、同様の記事が多数出ています。その内容は以下参照。

 

 

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