『笑顔の向こうに』 ・・・「皆殺し映画界のカンヌ」、それはモナコ国際映画祭。なぜ無名の日本映画ばかりが賞を取るのか、それは永遠の謎
→公式サイトより
『笑顔の向こうに』
監督 榎本二郎
原案・製作総指揮 瀬古口精良
脚本 川崎龍太
撮影 ふじもと光明
音楽 フジパシフィックミュージック
出演 高杉真宙、安田聖愛、辻本祐樹、池田鉄洋、木村祐一、佐藤藍子、熊切あさ美、藤田朋子、丹古母鬼馬二、大平サブロー、児島美ゆき、中山秀征、秋吉久美子、松原智恵子
第16回モナコ国際映画祭グランプリ作品。「皆殺し映画界のカンヌ」とさえ言われ、一部のみでたいへんな知名度を持つ映画祭、最近ではもっぱら寺西一浩監督作品で知られている。昨年はその寺西監督が『TOKYO 24』で主要五部門を制覇して貫禄を見せつけたが、同時に出品されていた日本映画がグランプリをさらっていった。なぜモントリオール国際映画祭並に無名の日本映画ばかりが賞を取るのか、それは永遠の謎である。そんな輝かしき経歴を誇る本作、なんと製作:日本歯科医師会!「8020運動三十周年記念事業」とかで、「80歳になっても20本の歯を保つ」を目標に厚生省と日本医師会が1989年にはじめた「8020運動」の三十周年を記念し、歯科衛生にかかわる人々の素晴らしさを訴える映画なのである。原案・製作総指揮の瀬古口精良が日本歯科医師会の常務理事ということなんで、どうやらすべての元凶であるらしい。こんな事情なのでわりと金がありそうで、空っぽの物語にもかかわらずキャストにはなかなかの有名人の名前がずらりと並び、にもかかわらずスタッフの中にはピンク映画系の人名がほの見えるというアンバランスぶり。クレジットにずらりと並ぶ諸団体・業界大手各社の名前が歯科医師会の権力のほどを見せつけてくる。まさかの口腔衛生エクスプロイテーションの登場である。
ヒロイン、まなつ(安田聖愛)は専門学校出たての新人歯科衛生士。山田デンタルクリニックにつとめはじめたものの、ドジして凹んでばかり。そこで先輩歯科衛生士たちから「王子」と呼ばれて人気のイケメン歯科技工士(入れ歯や差し歯などを作る技師)のことを聞かされる。
「王子ですって? わたしも会ってみたい!」
ところがその「王子」、金沢でともに育った幼なじみ大地(高杉真宙)なのだった……ってそもそも金沢での幼馴染がウン年ぶりに東京で偶然再会して、それがどちらも口腔衛生関係職とかどんな偶然なのかってツッコミたくなるところなんだけど、それより前、この映画はじまりから朝目覚ましで起きようとするまなつ→早朝から真剣に仕事する大地というクロスカッティングで二人の対比を紹介してるんで、出会いになんの意外性もないのだった。で、あとは自信家で嫌味な大地と、「しょまな」(金沢弁でドジっ子の意)まなつとのあいだで予定調和なツンデレ恋愛がくりひろげられるわけである。
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