『てっぺんの剣』 『侍タイムスリッパー』以上に、あんたなんのために来たの?と問いたくなる無意味タイムスリップ映画。
→公式サイトより
『てっぺんの剣』
監督 浜本正機
脚本 早野円
撮影 七澤甲
音楽 成瀬篤志
主題歌 澤田陽子
出演 北乃きい、本郷奏多、福山翔大、秋野太作、チャンカワイ、天野浩成、原田龍二、渡辺正行、熊崎晴香、富田華子、八代亜紀、松原智恵子
時は戦国時代、北九州の覇者大友宗麟に攻められた豊後国の津々木城はあえなく落城。武芸指南役の娘、結衣(北乃きい)は千尋姫(熊崎晴香)を守って落ち延びようとするが、追手が迫る。これまで……と死を覚悟した結衣は姫を先に逃がし、時間稼ぎのために追手と切り結ぶ。そのとき突然、結衣の体がキラキラと神々しく輝き、そのまま消えてしまったのだ! 時はくだって現代。大分県臼杵市の藤居酒造の倉庫で謎の物音がする。おそるおそる見に行くと、そこに光につつまれた美女があらわれた――ってこれは「女侍タイムスリッパー」か!? いやもちろん八代亜紀が出演している本作が製作されたのはかの映画がスマッシュヒットとなるはるか前だし、この手のアイデアは別に新しくも珍しくもないわけだが、あまりにタイミングがいいもんで、つい……主演は『武士道シックスティーン』という剣道映画もある北乃きい。監督はフィルモグラフィー中に幸福の科学映画『ファイナル・ジャッジメント』のタイトルが燦然と輝く浜本正機。大分の藤居酒造が実名で登場する大分焼酎映画である。
特に脈絡もなくいきなり見知らぬ世界に連れてこられて混乱する結衣。それに対して、常軌を逸した戦国かぶれのコスプレ女め、と冷たい視線を向けているのが藤居酒造の若社長藤居正人(本郷奏多)。正人は杜氏の塚本(秋野太作)とも相談せずに「これまでと同じことをやってちゃ駄目だ。自分が主導で新しい酒造りをする!」とぶちあげながら、「新しい酒ってどんなのですか?」と問われると「それは……これから考える」と腰砕けてしまう駄目っぷり。覚悟も考えもないのだが、父の急死で後を継ぐことになった会社をなんとかしなければと焦る気持ちだけは一人前なのだった。結衣を馬鹿にして追い出そうとするのだが、身寄りがないのを哀れに思った母裕美子(松原智恵子)から「今日はもう遅いから泊まって、明日、あんたが案内してあげなさい」と言われると逆らえない。正人以外はみな、彼女がタイムスリッパーだというのを素直に受け入れているのだった。
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