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優勝絶対条件に王手!横浜ビー・コルセアーズのアウェー金星。1週間前に張られていた伏線

Bリーグの過去のデータでは、「CS(チャンピオンシップ)のアウェーでの(有観客の)試合で勝ち上がったチームは、すべて、優勝している」という話はすでにお伝えしたとおり(詳しくは上のリンクの過去記事をみてほしい)。

 

CSのアウェーで勝ち上がりを決めるというのは、それくらい困難なことなのだ。だから、横浜ビー・コルセアーズが、川崎ブレイブサンダースとのアウェーでの準々決勝で、勝ち上がりに王手をかけた事実には重みがある。

 

 

では、今回の金星の伏線が張られていたことはご存じだろうか?

 

 

伏線の内容について触れる前に、川崎戦について青木HCが振り返った言葉に目を向けていこう。

「CSに来るまで(レギュラーシーズンの最後に)5連敗して、今日の試合でした。その中で、自分たちの危機感、修正点を全部浮き彫りにして、試合に挑みました。

 

今週はものすごく良い練習ができていたので、『しっかりと、強度のあるディフェンスをできれば、チャンスはある!』と思って今日の試合に挑みました。

前半に気になっていたのは、セカンドチャンスポイント(*オフェンスリバウンドからの得点)……特に相手ガード陣にセカンドチャンスポイントを取られたところ。そして、自分たちのターンオーバーから簡単な失点を許していたところ。この2つでした。

ただ、そこをしっかりと修正できれば……と。第1Q(クォーター)以降、3つのQでは(*各Qのスコアで)勝つ試合ができました。

『(オフェンスでは)自分たちのやるべきことをやって、シュートで終わること』と『ディフェンスではしっかりとリバウンドをとって終えること』。あとは『強度のあるディフェンスを続けながら、チームとしっかり戦えれば十分にチャンスはある』とハーフタイムに修正をかけたところ、選手たちが素晴らしい反応を見せてくれて、最後に勝ちに繋げられたんじゃないかなと思っています」

 

青木HCの口からたびたび出た、『強度』という言葉。これが伏線のキーワードである。

川崎戦後の河村

 

では、ここからは、その伏線を回収するために、時計の針を6日前に戻してみよう。

 

5月7日、富山グラウジーズとのGAME2では接戦の末に敗れたのだが、こんな場面があった。

 

第2Qの残り7分半の時点でアウダと河村が同時に、ベンチからコートに送り出された。すると、そこからディフェンスの強度が一気にあがった。実際、河村はそこから1分あまりの時間で、2回もスティールを記録した――。

 

当時、河村は、アウダとともにセットしたインテンシティの高い守備について、こう振り返った。

「CSではお互いに本当に強度の高いバスケットになります。レギュラーシーズンとは特に違った雰囲気や強度でのバスケットになると思うので。

CSでは気持ちの部分で、まずはしっかりとマインドセットして……。CSがはじめての選手がたくさんいますし、一応エースの僕も初めてということで。

でも、全然怖気づくことなく、チャレンジャー精神を持って戦いに行きたいなと思っています。

 

ただ、ステップアップするためには、一人ひとりが、CSに向けて、もう1段状態を上げていかないといけないと思います」

 

あそこでディフェンスの強度を上げたのは富山戦に勝つためだけではなく、CSを見すえたからでもあったのだ。

そして、その部分について質問を投げかけたときに、『強度』というキーワードを挙げて、語っていたのが他ならぬ青木HCだった。少し長くなるが、丁寧に振り返ってこう。

 

「CSに向けて、昨日の試合からしっかり強度を上げた、再現性のあるディフェンスができていたと思います。

あそこの時間帯に関しては、相手のポストのカバレッジのところも、昨日よりもスピード感を意識してプレーしていました。あとは、相手のフィーダーのところにたいして、もう少しアグレッシブに行けば、相手の得点を減らせると思っていました。

ですので、あそこに関しては、ある程度良いものが見れたものがあったと思います。

 

(富山との試合には負けたものの)今日のテーマとしては、どれだけ『強度』を上げてアグレッシブにプレーできるかでした。

『それをCSからやりますね』ということではなく、『今日の試合でも表現できるか』をテーマとしてやっていました。

それをしっかり表現してくれた部分は多く見られた試合だったと思っています」

 

どんなに強いチームでも、試合に負けることはある。ただ、負けたからといって、そこで見られたもの全てが間違いというわけではないのだ。

富山戦でいえば、誰の目からも明らかなほどにディフェンスの強度が上がった時間帯があった。

そして、あの試合では、そこにCSのことを念頭に置いているHCとエースがいた。だから、意味があった。

 

 

それでは、川崎とのCS準々決勝に話を戻そう。

試合後の記者会見の冒頭で、青木HCが『強度』について手ごたえを示したのは、上に書いた通り。では、その強度を出せたのは、あの試合があったからなのか?

その点について青木HCについてたずねると、こんな答えが返ってきた。

 

「特に手ごたえを覚えたというか、『(チームが今季のベストパフォーマンスを見せていた頃に)もう一度戻ったな』と感じたのは、先週の最終戦でした。

『この強度があればしっかりと戦えるな』という感覚がありました。

やはりシーズンを通して、試合でのディフェンスの強度が高いときには勝っています。

この前のホーム最終戦に負けはしましたけど、あの試合を見ていた時に、『これを練習からもう一度、みんなで共通意識を持ってやっていき、CSで表現できれば(川崎に)勝つチャンスだな』と感じていました」

 

そこまでまくしたてた、青木HCは、さらにこう続けた。

 

「ライブの練習をシーズンを通してやってきたんですけど、その時の河村選手と森井選手のマッチアップは本当に見ごたえがあるんです!

表には出していないんですけどね。練習のライブの強度と言うのは、本当に素晴らしいものがある。

 

そして、そういうのをもう一度、今週の練習で見れたので!

最終戦の負けから今日に至るまでの準備は、すごくスムーズだったのかなと言うふうに思っていました。ですので、今日も最初に11点差離れた時にも、『いや、ちゃんとチャンスはあるはずだ』全員が思っていたとはずなので。

それが最終的な巻き返し、逆転につながったんじゃないかなと思っています」

 

確かにレギュラーシーズンは、優勝するために、チームを作るために、重要だ。ただ、そこでの連敗だけに目を向けていては見えないものがある。

 

今回の金星の伏線は、そんなところひっそりと張られていたのだった――。

 

 

なお、河村が今シーズンのアシスト王に輝いたことは多くの人が知っているだろう。

 

では、アシストランキングのトップ10に2選手を送り出している唯一のチームは、どこかご存知だろうか?

 

それが、横浜ビ・ーコルセアーズであり、1位に河村が、10位には森井が名を連ねている。青木HCが興奮気味に語る『強度』の高いマッチアップを普段の練習から見せている2人がそこにいる。練習は決して、嘘をつかないのだ。

 

 

 

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最後まで目を通していただき、誠にありがとうございました!

 

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