久保憲司のロック・エンサイクロペディア

The Who “Live at Leeds” どうやって、あのライブ・スタイルを作っていったのか。ピートのギター・テクニックもシャレているんですよ

 

ローリング・ストーンズの「アンジー」の記事で、世界最高のアコギ・サウンドだと書きました。

じゃ、最高のエレクトリック・ギター・サウンドはどれか、エディ・ヴァン・ヘイレンのブラウン・サウンドだと前に書きました。でもやっぱりいつまでも僕のロック魂を盛り上げてくれるエレクトリック・ギターはザ・フーの『ライブ・アット・リーズ』のピート・タウンゼントのSGの音です。

これに勝てるものはいない。

 

 

なに一つ飾り気がないサウンドです。

唯一あるとしたら日本製のファズ、スーパー・ファズのあのブーミーというか暴力的な音でしょうか。リード・ギターや最後の暴発みたいな演奏の時には踏んでいるそうです。

しかし日本は昔からノイズを作ってきたなと思います。本場から遠い国の技術者の方たちがロックってこんな感じでしょって作った音。これらの日本製エフェクターは海外の下請けで作られたんですけど、「なんじゃ、この音は」と発注した方もびっくりしたことでしょう。でも「どうせロックのクソガキに売るんだろ、あいつらどうせ音のことなんか分かってないからいいよ」と売られていったような気がします。

今ネットで調べたら、『ライブ・アット・リーズ』の頃には、スーパー・ファズからデュオ・ファズに変えていたみたいです。でもどちらも日本の下請け会社シンエイが作っているファズです。両方ともそんなたいした違いはないです。どっちもぶっ壊れた音がします。

そして、ディレイはイギリスwemのテープ・ディレイ。Wemのアメリカ製とは違ったもっさいデザインを見ると、これぞブリティッシュと盛り上がります。この頃は日本はいいテープ・ディレイを作る技術はなかったんでしょうね。

ピートの弦はずうっと1弦と2弦が012と言われてたんですけど、最新情報によると1弦、012、2弦、3弦が016で、4弦032、5弦044、6弦056です。もちろんフラットワウンドです。ピートはチョーキングをそんなにしないから太めでいいんでしょう。2弦、3弦が太いというのがピートの音の特徴になっているのかな。試してみたいです。音がぶっといと言われるジミヘンなんか実はすごい細い弦を使っているんです。ジミヘンのセットは010、013、015、026、032、038なのです。低音部分は今の人の半分くらいの細さでしょうか。ピートのギターよりジミ・ヘンの方が太い音がするのはなんでなんしょうね。ジミヘンはロング・スケールのギターを使っているからですかね。ピートもモンタレー・ポップ・フェスティバルはジミーと同じストラトキャスターを弾いているのですが、僕もこっちの音の方が好きかなと思ったりするんですけど、演奏自体は『ライブ・アット・リーズ』の方がフーのスタイルが完成されていっているので、悩む所です。

 

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