ヴィム・ヴェンダース『PERFECT DAYS』 この映画、日本の公衆トイレに行きまくりたくなる映画でもあるのです。
ヴィム・ヴェンダースの『PERFECT DAYS』、今年って言っていいのか、去年と言っていいのか、ここ何年間のベスト・フィルムのひとつです。
今一番泣き、ほがらかになる映画です。
配信で見てもいいと思うのですが、映画館に行った方がいいと思います。4時くらいの回を見るのがベストだと思います。
映画終わって外に出たら、街灯の光がすごく綺麗に感じるでしょう。そして、常連さんとかがいる老舗居酒屋とか、お酒が飲めない人は老舗喫茶店に行って、お酒飲んだり、ケーキを注文したりするのがいいです。銭湯に行くのもいいかもしれないですね。コンビニ行って、お酒とかコーヒー買って、河原に行って、ちょっと飲んだりするのもいいかもしれません。車を持っている人はこの映画で使われた曲を流しながら、ちょっとドライブに行ったり、東京の方だったら、首都高を走るのがいいですよね。ヘッドホンして街を歩くのもいいかもしれません。毎日が愛おしくなる映画です。
日本っていいなって。
本当の話かどうなのか、分かんないですけど、黒船とかが来る頃、日本に来た外国人が日本では貧しそうな人もみんな和かなのにびっくりしたそうです。日本人に資本主義というか、植民地主義というか、大航海時代、のちの帝国主義に繋がるような考え方を教えていいのか、どうなのか、悩んだといいます。そんな話です。
バブル前夜くらい、高度成長の終わりに日本に来たジャパンのデヴィッド・シルヴィアンが、「日本のひどい渋滞の中を運転している人がみんな笑顔なのにびっくりした」と言ってました。「イギリスで、こんだけ渋滞していたら、クラクションならしたり、ファックとか言いながら悪態つきながら運転しているのに、日本人はなんで、そんなに笑顔でいられるんだ」と。
あのラッシュアワーを生き抜いている日本人の様子に、外国人がびっくりするあれですね。外国だとあんなラッシュになったら、暴動になるということなのです。インドみたいに電車の上とかに乗るのはどうなんって、思いますが。
日本人から見たら、そんなことないよ、色んな問題抱えているよ、ということなんですけど、ヴィム・ヴェンダースの見た日本なのです。この映画では神社もいい場所として描がかれています。西洋人って何なののというテーマを描いてきた彼にとって教会は敵だったと思うのです。もしくは何もしてくれない空虚な場所だったと思います。
外国人のヴィム・ヴェンダースにとって神社はリラックスする場所として感じているのです。もちろん僕らもそうですけどね。
神社は都市の空間の中にあるオアシスの機能をしてるんだろうなと思います。歴史的背景を見れば突っ込む所は一杯あるんでしょうけど、神社に行けば本当にマイナス・イオンを浴びる場所として機能しているじゃないですか。教会もそうなんでしょうけど。神社の方がもっとリラックスした感じを得られますよね。
神社って、本当に昔の人がディズニー・ランドとかUSJを作る感じで作っていたんだろうなって、思います。ディズニー・ランドとかは6000円くらいとるんでしょうけど。神社だったら、百円くらいお賽銭をお渡しするれば、なんか気持ちよくいさしてくれます。もっと大きなお祈りをしてもらうときは3万円とか払うんですけどね。
今回面白い所は、ヴィム・ヴェンダースはそれと同じような感じで、日本は公衆トイレもあるなと描いているのです。これも叩けばいろいろ問題あるのでしょうが。多目的トイレ、ジェンダーレス・トイレって名前笑いますね。日本の公衆トイレ、欧米に比べたら、本当にすごくいい場所です。欧米のトイレなんか、絶対ここではやらんとこって場所に出会いますからね。映画『トレインスポッティング』で、描かれたあのシーンですね。ドラッグ抜いたとたん、便意を催して、どうしようなく入ったトイレがのシーンです。
日本の昔のトイレもそうだったんですかね。ロッキング・オン社が86年に出した初の単行本って『大東京トイレ事情』で本で、、東京の公衆トイレはどこが快適かというガイド・ブックなんです。日本を代表する音楽評論家の人たちが、東京のトイレをリサーチしまくっていたって笑うでしょ。
日本の人、トイレ行き過ぎなんですけどね。外国の人そんなことないですから。僕はいつも高級ホテルの一階にあるみんなが使えるトイレを使っていました。日本だと、外で便意を催してしまい高級デパートだといいトイレあるだろうと入ると、1階から7階まで全部埋まっている時ありますよね。外国だとそんなこと絶対ないのです。日本で必死でトイレを探している時、僕は思わず、だから日本人の目はみんな細いねんというスタンダップ・コメディのネタを言ってしまいます。
なんの話してるんですかね。ヴィム・ヴェンダースは日本の公衆トイレのよさに感動しているんです。でもこの映画観て、こんなに日本にオシャレな公衆トイレがあるのかってびっくりしました。
この映画、日本の公衆トイレに行きまくりたくなる映画でもあるのです。
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