松沢呉一のビバノン・ライフ

ガールズバー考 ・・・女性従業員が風営法違反で逮捕される時代に (松沢呉一) -2,332文字-

客と話し込むだけで逮捕される!

 

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いやな時代になりましたよ。

 

 

ガールズバーで無許可営業 風営法違反で男3人逮捕 大阪府警

無許可で女性従業員に接待行為をさせたとして、大阪府警天満署が風営法違反(無許可営業)容疑で、大阪市北区曽根崎のガールズバー「プールバーモ ンブラン」を摘発し、同店の自称経営者、阿部幸一容疑者(30)=大阪市東淀川区上新庄=ら男3人を現行犯逮捕したことが7日、分かった。

逮捕容疑は6日午後11時半ごろ、同店内で府公安委員会の許可を得ないまま、女性従業員に男性客2人に対して酒を提供するなどの接待行為をさせたとしている。阿部容疑者は「何も言えない」と黙秘している。

同署によると、阿部容疑者らのほかに接客をしていた女性従業員2人も7日未明に同容疑で現行犯逮捕したが、同日釈放した。

産経新聞

 

改めて説明するのが面倒ですが、なお理解していない人もいるでしょうから説明しておくと、飲食と接待を営業とする店は風俗営業の2号の許可が必要です。クラブ、キャバクラ、ラウンジの類です。接待がなければ深夜酒類提供営業の届けだけでOK。

2号の許可をとると、営業地域が制限され、営業時間も深夜0時、条例によっては深夜1時までの営業となりますから、ほとんどのバーやスナックは深夜酒類提供営業の届けだけで営業しています。

踊ってはいけない国、日本 ---風営法問題と過剰規制される社会ちょっと前まで、風営法上の「接待」はシートで横に腰掛けることであり、カウンターでは成立しないと思われていたものです。『踊ってはいけない国、日本』に書いてますが、これは誤解です。もともと警察庁の解釈としては、カウンターごしでも接待が成立するとしていました。遅くとも昭和30年代にはそうなってました。

現実にカウンターの店に適用する例はなかったため、一般にはそのような誤解が広がっていたわけですが、3年ほど前からガールズバーにこれが適用されるようになっています。当初は警察も慎重で、指名制があったり、ゲームがあったり、よりはっきりと接待と見なせるサービスを根拠にしていたのですが、今ではカウンターごしに話し込んだだけで風営法の無許可営業で摘発されるようになってしまっており、スナックで客にビールを注いだだけでママが逮捕された例もあります。

この報道に出ている店も、話し込んだことが接待と見なされたようです。怖いっすね。二丁目でもシートに腰掛けての接待で摘発された例がありますが、それ以外のゲイバーも、あるいはゴールデン街の店もことごとく警察がその気になれば検挙できるようになっているのです。

 

 

なぜ女性従業員が逮捕されたのか?

 

vivanon_sentenceこうなることは『踊ってはいけない国、日本』の拙稿で指摘した通りで、あれよあれよという間にそれが恒常化していますが、上の記事を見て、「ん?」と思ったことが。最後の段落です。女性従業員2名も逮捕されているのです。

あまりに多いので、このところ、ガールズバーの摘発についてはちゃんと記事をチェックしていなかったのですが、経営者や責任者だけじゃなく、従業員まで逮捕される時代になっていましたか。

「ビバノンライフ」のどっかに書きましたが、石原都政下の浄化作戦の際に、風俗嬢たちまでが逮捕され、略式起訴で前科者になったのが多数います。警察はやりすぎだろうと当時繰り返し私は書いていたわけですけど、ガールズバーもそうなっています。話し込んだだけですよ。

これについては天満警察署に問い合わせたのですが、捜査中の事件のため、広報が発表した以上のことは教えられないと、いつもの対応です。

そこで大阪府警に一般論として話を聞いてみました。

 

 

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