医師数が少ないまま女性医師を増やすと医療は崩壊する—西川史子の発言を検証する[下]-(松沢呉一)-2,713文字-
「女性医師に脳を手術してもらえたらラッキー—西川史子の発言を検証する[中]」の続きです。
医師数と女性医師率の関係
言うまでもないことですが、ここまで書いてきたことの背景にはあるのは医師の絶対数が少ないってことです。
海外での人口比での医師数を見たって、日本は医師数が少な過ぎます。そのことと女性医師の増加がもたらす問題は密接に関係しています。
厚労省「女性医師の年次推移」
右のグラフと左のグラフでは対象国が違うため、きれいに照合できないですが、医師数と女性医師率の高さはある程度はリンクしていると言えます。女性医師率が高い国はだいたい医師の数が多く、女性率が低い国はだいたい医師の数が少ない。
たとえば女性医師率が4割弱のフランスは、千人当たりの医師数は3.3人で、日本の1.5倍です。そのフランスでも医師不足が深刻化しているのですが、その原因は以下。
女性医師の増加は医師の数でカバーしているわけですが、日本の1.5倍の医師がいてもカバーしきれない。
日本はもっともっと厳しい。医者の人数が少ないので、仕事がきつい。とくに外科はきつい。だから、出産とともに辞めたり、非常勤へと切り替える女性医師が多い。なおかつ「育児は母親自身がやらなければならない」という思い込みが社会に、また、本人にもあります。
データは探せていないですが、おそらく女性医師は都市部から離れたがらない傾向がありそうで、これも女性医師が増えることで深刻になりそうです。
女性医師の増加は医療崩壊を招く
フランスだって克服できていないのですから、ここを改善するのは普遍主義的発想では無理ってことです。まして日本では50年かけても根本的な解消は無理。男と女は違い、女性医師に外科になることは期待しないということで改善策を講じるしかない。医師を増やすことしか解決法はないのです。
これは一医大やその附属病院ができることではあり得ない。いくら東京医科大を叩いても無理です。
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