中国から始まったマスク着用の義務化—マスク・ファシズム[4]-(松沢呉一)
「マスク率の上昇とマスク着用の店の増加—マスク・ファシズム[3]」の続きです。
全体主義国家らしさが溢れるマスクの強制
COVID-19で、マスク着用を広く義務づけたのは中国が始まりです。マスクの強制は一世紀前にもありましたので(これについてはそのうちやります)、あくまでCOVID-19対策としての初です。
1月に中国の一部地域で強制着用が始まって、以降、全国に拡大されていきます。
2020年1月26日付「AFP BB NEWS」より
全体主義国家が全体主義国家らしい対策をやったわけです。こういう国ですから、「形式上、法を作ったけれど、運用はしない」なんてことはあり得ません。
2月の深圳市での映像とのこと。警官に蹴りを入れているので、逮捕容疑はそちらかもしれず、その前にマスクをしていないことだけで追い出されたのかどうかこの映像からはわからないですが、他にもマスク不着用の逮捕は多数報道されていますから、「つねに」ではないにせよ、厳しく運用されていることは間違いない。
以下も2月で、大陸ではこんなことになっていると呆れて報じる台湾の放送。
マスクを着用しないことでここまでやるのかどうか疑問を抱かないではないですけど、これを出している東森新聞は、台湾のケーブル・ニュースチャンネルです。
以下はそれぞれの映像が、どこのどういう状況によるかがわからないのでなんとも言えないですが、中国各地で見られる美しい光景をお楽しみください。
ここにも市中引き回しの映像が出てきます。
広州ではマスクをしていてもショッピングモールにアフリカ系住民が入れなかった映像も出ていて、マスク不着用者と黒人には買物もさせない国。
それでも抵抗する人たちがいるのが救い。
法に反したんだから何されてもいいという人もいるでしょう。では、その法に正当性があるのかどうか。
意味がないことをわかっていてマスクを強制した可能性が高い
すごく不思議なルールです。ここに不思議さを感じない人は「マスク=無敵の感染予防法」と思い込んでいるだけです。改めて検討しましょう。
今現在、中国のCDCは「感染しても症状が出ていない場合に感染させることを知らない人に効果がある」としています。
症状が出ていないのですから、咳も出ていないわけですが、顔を近づけて話をするような状況では唾液が飛んで口の中に入ったり、顔についたりすることを防ぐという点で、マスクの効果があることを指しています。低い可能性としてはその唾液がドアノブ等につくことを防ぐということもありましょう。
この点で効果があることは私も否定しないのは前回書いた通りです。
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