カタルーニャとバレンシアの音楽群[14]—ポストコロナのプロテスト[144]-(松沢呉一)
「カタルーニャとバレンシアの音楽群[13]—ポストコロナのプロテスト[143]」の続きです。
マファルダ(Mafalda)
ZOOはいろんなミュージシャンをゲストにして曲を出していて、ライブにも多数ゲストを呼んでおり、マファルダもゲストで出ています。
マファルダというブルガリア系英人歌手(現在は米国在住)もいるので注意のこと。実際に混同が起きているらしく、紹介する場合に「バンドとは別」という注が出ています。
個人のマファルダは本名ですから、それを尊重してバンドは改名するか、個人の方はフルネームにしてはどうでしょう。マファルダ・セシリア・サクスコブルグゴツスカ(Mafalda Cecilia Sakskoburggotska)。長いわ。彼女はブルガリア最後の国王シメオン・サクスコブルグゴツスキー(Симеон Сакскобургготски)の親族です。長いわ。
バンドが元ネタにしたマファルダはアルゼンチンを代表すると言っていい人気漫画で、絵は見た記憶はありますが、詳しくは全然知らんかった。
6歳なのに政治や社会問題に強い関心がある少女の名前。いいですね。こういう子どもが増えると、必然的に女性議員が増えて、クオータ制なんて必要なくなります。
マファルダは日本版も出ています。
作者のキノ(Quino)はもともとイラストレーターで、「マファルダ」で人気を得たあと、1973年に伊ミラノに亡命。アルゼンチンの軍事政権を嫌ったためです。その後はスペインに移住し、あちこちを転々としていたようです。2020年死去。昨年です。
マファルダは共産主義も嫌いだそうで、キノ自身、自由や民主主義が好きだったのでしょう。
連載していたのは1964年から1973年までですが、マファルダは平和を愛するプロテスターの象徴として読み継がれているそうです。
バンドの方のマファルダは自ら戦闘音楽グループ(un grupo de música combativa)と言っています。歌詞を読むと、反資本主義+反ファシズム+フェミニズムです。マファルダとしては反資本主義はいらなくね?
しかし、このネーミングは漫画から直接とったのではなく、スペインのイスマエル・セラーノ(Ismael Serrano)という歌手の「ブエノスアイレス 2001(Buenos Aires 2001 )」という曲の中に「マファルダは核戦争をする」というフレーズが出てきて、そこからとったもの。作者がスペインに住んでいたこともあり、スペインでも漫画は出版されているのに、漫画のことはよく知らず、あとでわかったということらしい。
イスマエル・セラーノはマドリッドの人なのですが、やっぱり社会派で、この曲はブエノスアイレスということで漫画のマファルダを入れ込んだと思われます。
マファルダのフェミニズム色の強い曲。
タイトルの「En Guerra」は戦争中の意味。これはスペイン語で、歌詞もスペイン語。
フェミニズムの戦争中って意味かと思われ、それらしき言葉はあるのですが、何を言いたいのかはわからず。どこまでがメンバーで、どこまでが通りすがりかもわからず。
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