松沢呉一のビバノン・ライフ

ロシア各地の入隊事務所に火炎瓶が投げられている/国を出ているブロガーの戦争批判に対して指名手配をするロシアの異常—ここまでの補足や追記-(松沢呉一)

 

 

カルッシュ・オーケストラ「ステファニア」の火炎瓶

 

vivanon_sentenceユーロヴィジョンにウクライナ代表として出場したカルッシュ・オーケストラの一般投票の数字が異常に多かった件ですが、ゼレンスキー大統領が投票するように呼びかけていたらしい。一般投票は登録すれば誰でもできます。ゼレンスキー大統領のスピーチは国内外で多数の人が観ますから、数百万という単位で動いた人がいたのでしょう(1万票で1ポイントといったカウントのはず)。

こっちサイド(ウクライナ軍に勝って欲しいサイド)からとらえた時には、私もカルッシュ・オーケストラに投票することに抵抗がなくなります。

ちなみに私は何年か前にユーロヴィジョンに投票したくなって、登録をしようとしたのですが、途中で挫折しました。そんなに難しい内容だったわけではないのですが、クリアできないところがあったんじゃなかったかな。ああいう登録はひとつミスるとやる気が削がれます。

カルッシュ・オーケストラ「ステファニア」の新MVは何度も観ましたが、報道という枠の中で観ていた風景がMVの中に登場すると、虚構と現実の整理がつかなくなる感覚があります。

あの映像の最後で、ステファニアの一人が持っているのは火炎瓶です。ロシア軍侵攻初期には火炎瓶を作っている映像が報道されていましたが、火炎瓶では戦車やヘリコプターに勝てず、ウクライナ人にとって必要なのはバイラクタルTB2であり、ジャベリンです。

火炎瓶が必要なのはロシア人です。プーチン体制に抵抗したいロシア人。

 

 

10ヶ所以上の入隊事務所に火炎瓶のプレゼント

 

vivanon_sentenceプーチン体制に異を唱えるロシア人の動きが活発化—オリガルヒから火炎瓶まで」に、警察車両に火炎瓶が投げられ、この時の犯人は捕まったのに、その翌日は軍事入隊事務所に火炎瓶が投げつけられ、こちらの犯人は捕まっていないという話を書きました。このあとさらに歴史を改竄する教科書を保管していた倉庫にも放火されたらしいという話も。

これらのことから、私はロシア国内での蜂起が始まっているとしたわけですが、私の読みは正しかったかもしれず、昨日、バイトに向かう電車の中で読んだ「メデューザ」と「メディアゾーン」によると、あれ以降も各地で火炎瓶が飛んでおり、とくに狙われているのは軍事入隊事務所で、開戦以来、これまでに10ヶ所以上の入隊事務所に火炎瓶が投げられるか、それ以外の方法で放火されているとのことです。

わかっている範囲でまとめておきます。

 

 

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