松沢呉一のビバノン・ライフ

ロシア占領地でのパルチザンの姿が少しずつ見えてきた—対ロシア・パルチザンと軍内の反乱-(松沢呉一)

 

戦争研究所が、ロシア占領地区のパルチザンの活動をまとめるサイトをスタート

 

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ロシア占領地区でのパルチザン活動について、戦争研究所(ISW)が検証してマッピングするサイト「INTERACTIVE MAP AND ASSESSMENT」ができてます。

 

 

戦争研究所はパルチザンの活動が大いに効果を発していると評価していて、これまでに確認できているだけで数十という単位の攻撃を実行し、橋や鉄道も爆破に成功。また、少なくとも11人の占領当局者と協力者を殺害(以下のロシア・マターズ」によると12人)。

これを成立させているのは、占領地の住民たちの協力があってこそ。どこに誰がいて、何をしているのかの情報が集まる。誰がパルチザン活動をやっているのかを住民が薄々知っても、決して口外しない空気ができているのだと思います。

占領地のパルチザン活動については、ハーバード大学附属のハーバード・ケネディ・スクールによる「ロシア・マターズ11月3日付の記事「Ukraine’s Insurgency, Purposefully Limited in Aims and Size, Pokes Holes in Russian Occupation」が参考になります。

 

 

重要ポイントは以下(自動翻訳)。

 

反政府勢力は、ロシア軍と正面から衝突することよりも、主に親ロシアの協力者を標的にし、ロシア軍の兵站を混乱させることに焦点を合わせてきた. これは、ウクライナ軍による通常の戦闘を支援するための戦術的な選択のようです。

利用可能なオープンソースの証拠から判断すると、南部の反政府勢力のネットワークは最も堅牢であり、反乱の主要な要素 (たとえば、武器の保管庫など) は、戦前にウクライナの治安機関と軍事機関によって設置された可能性が高いようです(略)。

武装勢力は中央司令部の代表者とのコミュニケーションを維持している可能性が高いが、セルは高度な自律性を持って活動しているようであり、おそらく露出のリスクを最小限に抑えるために、横方向に調整したりコミュニケーションしたりすることはないようである。

 

侵攻以前から存在していた武器の保管庫を所有するくらいに武装化されているようです。特定の作戦については、ウクライナ特殊部隊と連携し、それ以外の作戦については地域別、グループ別に自立した行動をとっていて、ウクライナ正規軍も全貌は把握できていないってことのようです。また、それぞれのグループは横のつながりはなさそうだとあります。その方が安全。

活動は占領地南部に傾きがあり、武装パルチザンは数百名。東部は少なくて、百名未満とのこと。

ここでちょっと不思議に思ったのは、「なぜ今か」です。どうしてここに来てパルチザンをクローズアップする動きが続いたのか。このあとパルチザンの大きな動きがあることを察知し、その準備をしているのかもしれないですが、私にはわかりません。

 

 

ロシア国内では火炎瓶攻撃が続く

 

vivanon_sentenceこれに対して、ロシア本国でのパルチザンは事情が違って周りは全部敵、すべてはプーチン支持者だと思っていた方がよく、バレたら通報されますから、リスクが高い。なおかつ占領地のパルチザンのような武装組織ではなく、個人または数名による孤立した闘いになります。その分、情報が出にくく、ロシア・マターズ」も国内パルチザンは把握が困難であり、ベルゴロドの武器貯蔵庫の爆破、鉄道や送電線の破壊は、パルチザンによるものと推測するに留めています。

各地の入隊事務所に対する火炎瓶攻撃は反プーチン、反政府、反戦に至らず、「自分は動員されたくない」に留まるものが少なくないとも見られるので、すべてをパルチザンにカウントすることは難しいのですが、ともあれ攻撃は続いています。

 

https://www.youtube.com/shorts/yVZT1LFVpZY

 

 

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