できなくはないにせよ、2時間も踊りながら演奏するのは勘弁して欲しいというのが米国のマーチングバンド—「オレンジの悪魔」にキャバレーを見た[10]-(松沢呉一)
「米国のマーチングバンドと日本のマーチングバンドは選曲も違う—「オレンジの悪魔」にキャバレーを見た[9]」の続きです。
日本の軍事マーチングバンド
日本の軍事マーチングバンドもチェックしておこうと思いまして、海上自衛隊東京音楽隊の動画を観ました。
米国のミリタリー系とは全然違う。これは2019年、カナダで毎年開かれている「ロイヤル・ノバスコシア・インターナショナル・タトゥー」に出た時の演奏なので、「日本らしさ」を考えてます。
そもそもなんで刺青イベントにでているんだと思ったら、このtattooは刺青とは関係がなくて、ドカドカと太鼓を叩く音のことでした。とくに軍楽隊の太鼓やラッパを指すようで、このイベントは、軍事バンドを中心とした音楽イベントなのです。こっち方面のマーチングバンドを好きな人たちも当然いますわね。
どっかの国の軍事バンドが銃を使ってますが、あれは模造じゃなくて本物だっぺ。
日本から海外に行って受けるには、サクラ・キモノ・サムライってわけです。実際、こういうベタなもんが受けたりするわけですけど、そういうものではない方向で日本のマーチングバンドがアイデンティティを主張するんだったら、ダンスだと思います。
他の国まではあんまりチェックしていないですが、米国のマーチングバンドに関して言えば、演奏しながら踊るのは発想としてないので、日本は有利です
応援団の早慶戦
ここまで見てきたように、スタジアムが主たる活動の場であり、目の前にいる敵チームとのバトルが主たる目的となっている米国のマーチングバンドは、誰もが知る定番曲よりオリジナル曲を優先します。日本の応援団と同じ。
と書いておきながら、応援団のことをよく知らないので、確認してみました。
2020年11月、東京六大学野球で早稲田大学が優勝を決めた試合ですが、負けた慶応大学にスポットを当てた映像です。エール交換の指揮を女の部員が務めたのは、慶応大学創立以来、初なんですってよ。
アバズレとは真逆なのに、ちょっと感動しました。慶応大は劇的な逆転負け。コロナ対策で外野席には一般客がおらず、その中で涙にまみれながら敵を讃え、慶応も讃える。
こういう場での楽器は太鼓が1人とラッパが5人くらいかと思っていたのですが、もっといます。とくに早稲田。あの人たちは応援団所属なんかな。吹奏楽部の選抜サポート・チームかな。
で、曲は全然かぶってません。試合中は、慶応は「ダッシュ慶応」と「若き血」、早稲田は「コンバットマーチ」と「紺碧の空」の繰り返しです。
やっぱりそういうものです。
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