松沢呉一のビバノン・ライフ

非常事態省も注目するロシア国内の火災がさらに増加している—巨大レストラン、老人ホーム、OMONの寮-(松沢呉一)

 

ウラジオストクの大きなレストランが全焼

 

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ここまで見逃していた火災から。

12月7日(6日の深夜)、ウラジオストクの「レストランZUMA」が全焼。

 

 

屋号では「レストラン」となってますが。ナイトクラブとしてある報道もあって、食えるし、飲めるし、踊れるみたいな店だったのだと思われます。

500平方メートルが全焼ですが、死傷者はなし。高いビルの階上だったり、地下だったりではなかったのが幸いしたようです(2階建てだったよう)。

この火災は妙なところに延焼。この物件はオレグ・カンという人物が過去に所有していたもので、オレグ・カンはカニの売買で巨万の富を築き、「カニ王」の異名を持つ人物です。しかし、ロシアではカニは犯罪組織と密接に関わっていて、オレグ・カンは密輸で逮捕されています。はっきりわからなかったのですが、殺人事件にも関与していたようで、国外に逃亡。

この関わりで現在のオーナーについても深掘りされていますが、それがわかったところでどうになるものでもないため、それ以上は私は追ってません。もしかすると、そっち方面の揉め事で放火されたのかもしれない。

 

 

自動車の炎上と非常事態省の動き

 

vivanon_sentence12月21日には、クルスク州ツェレズノゴルスクで、駐車してあった車が炎上。隣に駐車していた車も一部損傷。

中国でよくEV車が炎上しているように、車の欠陥で炎上したのか、積載していた発火物が燃えたのか、誰かが火を放ったのかは書かれておらず。

これは地下活動の成果じゃないだろと思ったのですが、緊急事態省に報告があったと書かれています。おっ。

連邦消防署の所轄は非常事態省、州や市の消防署は各自治体が所轄なのだと思います。普段でも、火事のデータは非常事態省が収集していると思うのですが、このところの火災の急増に注目して情報収集をしており、また、スーパーマーケットなどの関連業種に注意を呼びかけています。

非常事態省が対応を始めているのは、戦争による人材不足、物資不足によるものを見極めたいということとともに、反体制派の仕業ではないかとの疑いを抱いているためです。

この自動車の炎上も、普通の火災ではないと判断したのではなかろうか。火災としては小さいので、記事は短く、この車の所有者について何も書かれていないのですが、政治家、警察、軍関係であれば、いよいよ反体制派の可能性が高まります。

✳︎2022年12月22日付「46TV

 

 

火災が連発した23日夜

 

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23日夜、ケメロヴォ州ケメロヴォ市の老人ホームが全焼。20名が死亡。

 

 

原因は公表されていて。暖房設備が整備不良で法の基準を満たしていなかったとのことです。

 

 

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