松沢呉一のビバノン・ライフ

マリーナ・オフシャンニコワさんのその後—フランスでの記者会見を観る-(松沢呉一)

 

マリーナ・オフシャンニコワさんはフランスに亡命していた

 

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昨年10月に軟禁から脱出した旨を公表してから情報が途絶えていたマリーナ・オフシャンニコワさんはフランスに亡命して、4ヶ月ぶりに公の場に姿を現しました。

 

 

どのようにして逃げたのかについて触れているメディアもありますが、おおむね日本の報道は短くて、もっと知りたいと思って探したら、記者会見のすべてを英インディペンデントが公開していました。

 

 

一時間半もありますが、この記者会見を仕切っているのは国境なき記者団で、いまさらロシアが侵攻したことの説明やブチャの説明はいらんだろと思わないではいられない司会の話がダラダラ続くので、オフシャンニコワさんが話し始めるところからスタートする設定にしておきました。しかし、わざわざ全部観るまでもないと思います。

 

 

7台の車を乗り継いでロシアを脱出

 

vivanon_sentenceオフシャンニコワさんはロシア語で話し、通訳はフランス語に訳し、そのフランス語が日本語に自動翻訳されるのですが、二重の翻訳である上に自動翻訳なので、意味不明な箇所が多数あります。

わかる範囲で説明をすると、ロシアから脱出した時、彼女はクレムリンの前でプラカードを出した件で裁判中で、自宅に軟禁されていました。弁護士は10年の懲役刑になると予想し、生きて出ることはできないかもしれないと彼女に告げます。彼女はロシアから離れたくなかったのですが、「刑務所の中で死ぬ」「亡命する」の二つの選択しかなく、亡命を選びます。

ロシア脱出に国境なき記者団が協力。金曜日の夜に娘とともに車で出発。土日はロシア当局の動きが悪くなるためです。7台の車を乗り継いで国境に向かいます。足首につけられた発信器は2台目の車に準備されていたペンチで外しました。

順調に国境近くまで行き着いたのですが、そこで車が泥にはまってしまって動けなくなり、車を捨てます。居場所がばれかねないためでしょうが、携帯電話も持ってきておらず、星の位置で方角を見定めるしかない。車のヘッドライトが見えると隠れ、この時ばかりは生きた心地がせず、自分の生き方を顧みたそうです。

しかし、無事徒歩で国境を越えることができました。彼女はシェンゲンビザを持っていたので、フランスに合法的に入国でき、マクロン大統領は、彼女がチャンネル1で決起した段階で、彼女の亡命を受け入れる旨の発言をしていて、その約束が果たされました。

 

 

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