松沢呉一のビバノン・ライフ

落選運動の難しさを理解していない人々の無駄な行動—川崎市議会選挙の結果[前編]-(松沢呉一)

 

軽率な落選運動を笑う

 

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サンクトペテルブルクでの軍事ブロガー爆殺事件、モスクワの国防省炎上など、ロシア国内の異変が続いているため、それらのチェックに忙しくしながら、Colabo派の人たちが、浅野文直川崎市議(選挙期間中は市議ではないですが、煩雑になるので、市議で統一します)に対する落選運動をやっているのをたまに見ては笑ってました。

落選運動は条件が揃った時しか効果はなく、時には落選するはずだった人が当選してしまう悲劇(喜劇)も起きます。今回はいくらやってもほとんど影響を与えないのは明らかです。

そういう無駄なことをやる人が出てくるのは止められないとして、仁藤夢乃や弁護団、支える会の関係者がこれをやっていました。さすがにバスカフェの安全策も代案も提示できず、自業自得で新宿区役所前を使えなくなった腹いせに、多数の共産党都議を動員して見当違いな抗議をやって敵を増やし続け、結果自分の首を締めてしまった人たちだけのことはあります。

たとえばこういう人。

 

 

不思議ですねえ。「次々に誹謗中傷を垂れ流し続けてきた」のに、訴えないのはどうしてですかね、Colabo弁護団のメンバーですから、Colaboに「次々と訴えましょう」と働きかければいいじゃないですか。ただでさえ潤沢な資金があって、だからこそあれだけの弁護団を組織した上に、訴訟費用をカンパで集めていて、訴訟を担当すれば中川卓弁護士もひさびさの弁護士の仕事ができるのに、その絶好のチャンスを活かさず、Twitterをやっている弁護士。

内容のないツイートを繰り返すよりも、選挙期間中に「名誉毀損で訴えました」と喧伝した方が効果があるかもしれないですが、勝てるはずがないのは中川弁護士でさえも理解していることでしょう。見逃しているかもしれないけれど、浅野市議がColaboに対して誹謗中傷に該当するような発言をしているのを私は見た記憶がありません。「次々に誹謗中傷を垂れ流し続けてきた」という表現こそが誹謗中傷では?

「川崎市議がこの問題に口出しするのは筋違い」という筋違いの批判をしている人たちも見ましたが、浅野市議が何を主張しているのかを確認すらできないらしい。浅野市議はColaboが川崎市と東京都からの委託金を不正処理していたかもしれない疑惑を追及しています。これは川崎市議会こそが取り組むテーマです。これについては公開質問状を出しているのに、Colaboの弁護団からここまで無視されています。都合が悪いのでしょうね。

Sioさんの件にも深く浅野市議が関わってますが、昨年末、孤立無援でColaboを告発し始めた彼女を守ることにおいて、「市議には資格がない」なんてことがあるはずがないでしょう。誰がやってもいいことです。

浅野市議が取り組んできたのは大きくこのふたつ。それ以外のことにはあまり触れていない印象です。浅野市議は独自路線であって、煉獄コロアキらの行動なんて何も関係ないですが、それをあたかも浅野市議のせいにするような人も見ます。無理がありすぎ。

 

 

落選運動は無意味であることを鮮やかに見せてくれた

 

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ただ、神奈川新聞による投票日前日と当日のネガキャン記事だけは影響があるかもしれないと思ってました。

で、その結果。

前回(2019年)、浅野市議は6,206票で6位当選(川崎市宮前区の定員は9名)、今回6,007票で5位当選。199票減ってますが、順位は上がってます。

前回の総得票数は74,539票、今回は80,341票ですから、率で言えばもうちょっと得票は減っていることになります。

参考までに前回は共産党の候補が2名立っていて、石川けんじ候補は4,106票で最下位当選、佐藤純一候補は2,754票で落選。これ踏まえて、今回は実績のある石川けんじ候補に絞り、5,993票で6位当選。得票数は大きく増えてますが、共産党票は減ってます。

 

 

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