松沢呉一のビバノン・ライフ

共同通信が桜ういろうを譴責で済ませた論理を推測する—懲戒の基準[51]-(松沢呉一)

飲食テロをどこまでどう裁くべきか[下]—懲戒の基準[50]」の続きです。

 

 

共同通信は桜ういろうに譴責処分

 

vivanon_sentence落選運動はどういう条件の元で効果を発し、どういう条件だと逆効果になるのかを考えたことがない無思慮な集団も、さすがに川崎市議会選挙で学習したのか、あるいは中川卓弁護士の捨て身の攻撃によってTwitterのアカウントが凍結されることを悟ってか、今回は静かなのかな。

Twitterで名前を連呼するんだったら、怪文書をポスティングするか、選挙演説の場に行ってプラカードを出す方がまだしも効果があると気づいて、今回は作戦を変えたのかもしれないですが、選挙活動の場での行動は場合によっては公選法違反になり得ます。捕まりたい人は捕まればいいと思います。

さて、桜ういろうの懲戒処分が決定したようです。2023年4月19日付「NEWSポストセブン」掲載「【共同通信デスクが匿名でヘイト発言】「桜ういろう」へのけん責処分に社内から「甘すぎるのでは」の声」によると、譴責のみ。つまり注意されておしまい。

ナザレンコ・アンドリーさんはこのまま訴訟をする方向ですから、桜ういろうにとっては辛い日々が続きましょうけど。

 

 

判決によってはさらに処分があるのではないかと言っている人たちもいますが、ルール上、それはないです。業務外の民事訴訟は懲戒対象にはなりませんので。不倫で訴えられても原則として懲戒処分はされないわけです。

ネット上では、ほとんどの人が「軽すぎ」「身内に甘すぎ」と憤慨しています。「回転寿司のペロペロ君は学校を退学して家から出られなくなっていて、金髪醤油君は逮捕されているのに」と思った人も多いでしょう。

それとこれとは話が違うとは言え、業務外の行為についての懲戒処分は軽くていいと考えている私でも「あまりに軽い」と感じてしまいました。というのも、桜ういろうのツイートは、業務中になされていると推測できて、ツイートの内容を問わず、この点で重く処分されるのではないかと予想していたものですから、

形式上の処分は軽く、それとは別に「左遷する」「自主退社に追い込む」「他の問題を探しだして、そちらで懲戒解雇にする」ということもあるかもしれないですが、「表向き軽く・内実は重く」は逆だと思うなあ。世論が納得するように「表向きは重く・内実は軽く」の方がこの場合は適切ではなかろうか。ここは新聞社、出版社と違って、一般の人たちに商品を買ってもらうわけではない通信社の甘さかもしれない。

 

 

どういう論理で軽い処分になったのかを推測する

 

vivanon_sentence共同通信総務局は取材に対して「回答を控えさせていただきます」とのことだそうですから、代わりに、懲戒処分に目がない私が軽い処分で終わった理由を説明してみます。懲戒処分についての規則が公開されていないので(民間はたいてい公開してないものです)、実際にどうだったかは知らんです。

 

 

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