ついにクレムリンにもドローン攻撃—ウクライナ軍かロシアの自作自演か、それとも…-(松沢呉一)
ブリャンスクで鉄道戦争
たったの1日ロシアから離れるだけで、各地で爆発、炎上が相次いでいて、拾うのが大変です。
一昨日はロシアのブリャンスク駅の近くで鉄道が爆破されました。ドローンではなく、爆発物を仕掛けられたとのことで、これはパルチザンによるものでしょう。鉄道戦争。
同じ日に同じブリャンスクでもうひとつの列車も爆発事故。
同じ線路だったら、前の爆破で不通になっているのではないかと思うので、別の路線ではなかろうか。
いずれも化学製品や石油製品を輸送していた貨物列車であり、民間人が乗った旅客列車ではない点、爆発音が聞こえ、負傷者はゼロという点でも共通しています。同じバルチザングループだと思われます。だったら、いよいよ別の路線を狙いますわね。
いくつもの貨車が脱線しているので、復旧には数日かかります。それだけではなく、鉄道が狙われるのはダメージが大きい。軍向けの車両や人員の輸送が滞りますし、長い長い距離を防護するのは困難です。
クレムリンをドローンが攻撃!!
そして、3日には、クレムリンをドローン 2機が攻撃。
ウクライナ軍はロシアによる自作自演をほのめかしていますし、米政府は判断する情報がないとしつつ、自作自演説を否定していません。
たしかに、屋根のギリギリのところで爆発して墜落しているのは、出来すぎとも思えますが、これによってウクライナへの敵対心を高めるロシア人より、厭戦気分を高めるロシア人の方が多く、戦地に行きたがるロシア人より、国を脱出したがるロシア人の方が多いのではなかろうか。そんなことは知ったことではなく、無理矢理動員を実行する口実にするかもしれないですが、自作自演をしなくても、その気になればできるでしょう。
9日に戦勝記念日を控えたこの時期は、何も起きないで欲しいとプーチンは願っているはずですから、自作自演はないだろうと思います。
しかし、すんなりウクライナ軍がやったとも言えない。ゼレンスキー大統領はウクライナがやったことを強く否定しています。
米国はモスクワへの攻撃に賛成しておらず、この前哨戦においてもクレムリンにドローン攻撃をするのはロシアを刺激しすぎます。あえてウクライナ軍がロシアのみならず、米国も刺激するリスクをとるかな。
(残り 1401文字/全文: 2530文字)
この記事の続きは会員限定です。入会をご検討の方は「ウェブマガジンのご案内」をクリックして内容をご確認ください。
ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。
会員の方は、ログインしてください。
外部サービスアカウントでログイン
Twitterログイン機能終了のお知らせ
Facebookログイン機能終了のお知らせ