松沢呉一のビバノン・ライフ

入隊事務所放火事件の背後にある驚愕の事実—ウクライナ詐欺グループの暗躍-(松沢呉一)

 

 

入隊事務所に火炎瓶を投げる事件が再度増えつつある

 

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昨年、動員令の前後に頻発していた入隊事務所に対する火炎瓶投擲や放火ですが、動員が落ち着くとともに報道されなくなりました。

しかし、また動員が始まりそうな状況になってくるとともに犯行が増えつつあります。

以下はウクライナメディアが先月報じたロシアのプロテスト集です。

 

 

ムルマンスク(Мурманск)州キロフスク(Кировск)市に住む16歳のイェガー・バラジケンは入隊事務所に火炎瓶を投げて逮捕されます。彼は火炎瓶を投げたことを認めていますが、母親は「火炎瓶を投げても、放火したり、人を傷つける意図はなく、軍事作戦への反対は象徴的なジェスチャーでしかなかった」みたいなことを言ってます。自動翻訳のせいか、何を言っているのかわかりません。

 

 

意味不明の動機を語る容疑者たち

 

vivanon_sentence5月14日付の「メディア・ゾナ」によると、今度はムルマンスク州の州都であるムルマンスク市の入隊事務所が放火されて、地下階が全焼。容疑者のシャミル・アリエフ・ハサノフという19歳の青年が現場で治安部隊に拘束されました。彼は反戦のためではなく、「殺害の脅迫とインターネット上の匿名の人物への脅迫のため放火を行った」と言っているとあります。彼もいったい何を言っているのか。

ムルマンスク市の入隊事務所は2月にも火炎瓶を投げ込まれていて、これも容疑者は逮捕されていて、いずれの事件でも容疑者は逃げようとせず、「彼らは拘留された後、借金やローンに関わる信じがたい話をすることが多かった」と記事をまとめていますが、借金やローン? いよいよ意味がわからない。

この記事は4月27日付の「メディアゾナ」の記事「電話で放火。年金受給者が火炎瓶で軍登録事務所や入隊事務所を襲撃したというニュースはどこから来たのでしょうか?」にリンクされています。

私は「メデューザ」を読むことが多くて、この記事は読んでませんでせしたが、記事のタイトルさえも意味がわからない。「電話で放火」って? 電話で放火はできんだろ。ロシアではできんのか?

これは「電話がかかってきて、放火を命じられた」って意味でした。誰かから電話がかかってきて、放火を命じ、なぜ容疑者たちはそれに従い、なぜ逃げようとしなかったのか。ここまで出てきた2人は10代。年金受給者とどうつながるのか。

この記事では驚くべき話が展開されていき、昨日は頭を抱えながら、一日このことを考えてました。

元ロシアの国会議員のイリヤ・ポノマレフは、ダリア・ドゥーギナや軍事ブロガー、作家の暗殺事件も、クレムリンへのドローン攻撃も、一連の火災も、入隊事務所の火炎瓶投擲もなんでもかんでも国民共和国軍がやっていると吹聴してますが、そんな与太よりずっとこっちの方がリアリティがあり、同時に困惑します。

 

 

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