松沢呉一のビバノン・ライフ

韓国・性売買特別法による地下化、分散、偽装、個人化—仁藤夢乃の発言は信用できない[5]-(松沢呉一)

仁藤夢乃が語る虚構とは全然違う韓国・性売買特別法の現実—仁藤夢乃の発言は信用できない[4]」の続きです。韓国の性売買特別法については、「韓国・性売買特別法についての事実を確認する—仁藤夢乃の発言は信用できない[資料編]」を参照してください。

 

性風俗の地下化と分散

 

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性売買特別法によって、韓国では何が起きたのかを確認します。

今まで店舗の形で歓楽街に集中していた性風俗店は一掃されて、ビルの一室で秘密裏にやるか、別業種の看板を出してカモフラージュするか、出張の形になります。それだけでも捜査は難しくなります。

ビルの一室で秘密裏にやっている場合でも、なんらかの形で客に伝える必要がありますから、その情報を得て、捜査員が内偵に入って、性交や類似行為をやっている確証を得て、摘発に入るわけですが、この時に客をしょっぴいても、本当のことを言えば自分も捕まるので、非協力的になります。この証言が得られないことによって、店もセックスワーカーも捕まえられない。

あとは入店希望のフリをして面接に行き、どういうサービスがあるかを聞いて、その回答を証拠に摘発することは可能かと思います。この場合は客を捕まえることはできない。

事実、店だけが捕まっていることがあります。

こちらのブログから。

 

被告人Aは蔚山南区E、5階にあるマッサージ店の運営者であり、被告人Bは上マッサージ店の従業員として、2017.9頃から2018.3.12.頃まで上マッサージ店で、6つの密室を設置しており、訪れた不特定多数のゲストから性売買代価を含むマッサージ費用で8万ウォンから10万ウォンを受けた後、ゲストを密室に案内し、女性従業員をその密室に入らせ、手でゲストの性器に触れる方法で類似性行為をさせ、数回にわたって営業で性売買を斡旋した。

 

この従業員は接客する担当ではなく、いわゆる男子従業員です。客のことは省略しているだけかもしれないですが、このブログにはいくつもの実例が出ていて、セックスワーカーも捕まった例が一例でてます。しかし、青少年として無罪だったようです。

※2021年5月12日付「경향신문」 10年前の同日の記事を振り返るという趣旨のシリーズ。この頃はキスだけなら摘発できなかったため、「キスルーム」がブームになったという内容。その後、法改正されたとのことです。そのため、今度は「ポポパン」というジャンルが登場したとありますが、なんのことか不明。下に出てくるオナクラか?

 

 

偽装業態と合法の新業種

 

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法律逃れの店は事実増えていて、カラオケ、飲み屋、喫茶店、マッサージ店など、カモフラージュをする店が増えました。GiantGirlsのメンバーが言っていた風船効果が生じて、歓楽街から、より広い範囲にそういった店が拡散しました。

それでもこれらは相当数摘発されていますが、この時に証拠とされるのがコンドームです。これがセックスやアナルセックスをしている証拠とされるので、セックスワーカーたちは警察が入ると、コンドームを飲み込んだり、性器や肛門に隠します。警察は性器や肛門まで指を入れて来るとGiantGirlsのメンバーが言っていました。これを避けるために生でやるのも出てきますから、性病対策もできなくなります。

先日、その一例を出しましたが、日本で風営法の届けを出している店であれば、年齢を偽って面接に来る18歳未満を警察に突き出せます。店の女の子や客がシャブをやっていても同様(「お前もやるか」とシャブを出して来る客が本当にいるのです)。警察がそれらの店から情報を得ることもできて、両者が連携して悪質な店や客を駆逐していくこともできますが、違法営業の店ではできませんから、韓国では働く者にとっても客にとっても環境が悪化していることが容易に想像できます。

さらには摘発できない業種が登場。とくに増えたのはオナクラのような業態だと聞きました。正確な記憶ではないですが、店の女が半裸になったり、全裸になる分には合法のはずで、男が勝手にオナニーをする。これだと身体的接触がないので、法にひっかからない。

この業種で働くのは若い層で、なおかつお気楽層が多いとのことです。STD感染のリスクがなく、逮捕されるリスクもなく、生活のためというより、学生がアルバイトとして選択する。安全に働ける新業種の誕生によって、今まで性風俗では見なかった層が参入。

 

 

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