松沢呉一のビバノン・ライフ

ジャーナリストが「憎悪」を「ぞうあく」と読み、議員が「手当」を「てとう」と読む—仁藤夢乃の発言は信用できない[余談編1]-(松沢呉一)

「仁藤夢乃の発言は信用できない」シリーズが長くなってしまって、これを契機に、今までまとめていないことをまとめるのはいいのですが、繰り返しが増えてくると面倒臭くなります。仁藤夢乃の主張はパターンが同じで、深みがない上に進歩もないので、これ以降、繰り返しが増えるだけだと予想でき、以降は飛び飛びでやっていくとします。

今回と次回は、休憩がてら、「なぜ仁藤夢乃は正確な記述ができないのか」「あるいはしないのか」について参考になる話を書いてみました。

 

 

札幌の頭部切断事件で注目した点

 

vivanon_sentence札幌の頭部切断事件は当初から関心を惹きつけてやまない事件でしたが、医師と妻とその娘の3人が逮捕されて、いよいよ目が離せない。

しかし、警察の発表が小出しなので、今なお、いったい何があったのか皆目わからない。

いい加減なことを言うのはまずいので、私はこの事件についてはほとんど触れてなかったですが、数日前のこの報道に注目しました。

 

 

元刑事の犯罪ジャーナリストという肩書の「専門家」が、「田村瑠奈容疑者と被害者との間にトラブルがあったと言っているが、警察は確認がとれていないのだと思う。被害者にも当然人権があるから、容疑者が語る一方的な内容を話すのは、今の段階では早いと思う」という趣旨の話をしています。

容疑者たちは自分に有利なことを話すに決まっていて、とくにこの件では被害者は死んでおり、家族三人で口裏を合わせている可能性が高く、だから警察も三人の証言の矛盾点を探す作業をやっているのだろうと推測します。

それはいいとして、その「専門家」は、「憎悪」を「ぞうあく」と言ってます。私が注目したのはここです。「ぞうあく」と聞いた当初、「これを読み間違えるわけはないよな」と思いました。警察用語や法律用語では、一般の言葉とは違う定義になっていて、それを明確にするため、読みを変えていることがあります。「競売」を「けいばい」と読んだり。

その類かと思ったのですが、辞書にはそんな読みは出てません。ただ、医療用語で「ぞうあく」という言葉があって、漢字は「増悪」。テロップを間違えたのかと思ったのですが、「増悪」は「病状が以前より悪化すること」ですから、これではなさそう、

憎悪という言葉は警察も使用することが多いはずです。ヘイトクライムは日本語では「憎悪犯罪」です。警察内の報告や会話でも、「憎悪」を使うことは頻繁にありそうなのに、今の今まで間違った読みに気づかないなんてことがありますかね。あったから間違えたわけですが、どういう条件が揃うと、そんなことになるのでしょうか。

 

 

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