松沢呉一のビバノン・ライフ

元AKB48の岡田奈々の数字は語る—日本レコード大賞とともに終焉する芸能界商法[前編]-(松沢呉一)

 

YouTubeの広告で知った明透「ねむるまち」

 

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YouTubeの広告に出てきて、「いい声してるな」と思ってクリックした曲です。

 

 

私に広告を表示するくらいで、VTuberかと思ったのですが、ヴァーチャル・シンガーの明透(あす)って人です。ヴァーチャル・シンガーって何か知らないですが、顔を公開せず、声だけで勝負ってことか。VTuberもAdoもヴァーチャル・シンガー。

ドラマで見たんだ 正義は必ず勝つって 正義って何なの」と聞いてますよ、神原元弁護士。安っぽい脚本の安っぽいドラマに出てきそうなフレーズです。

この曲はボカロPのくじらによるもので、4年前にyamaが歌って1千万再生回数を突破(現在1,900万再生回数)。これでyamaが脚光を浴びてメジャー・デビューするきっかけとなりました。

この曲を明透がカバー。声や歌い方はyamaに通じます。

公開されたのは昨年5月で、「なんで今頃?」と思いましたが、発売日の前後に宣伝費を集中させるのは、レコード、CDの時代には物流の事情が関係していました。書籍も同じ。新刊として棚に並んでいる間に売れないと返本されてしまい、それから宣伝をかけても書店の大半は無視し、客からの注文があっても、書店はその分の注文を出すだけなので効果が薄い。

しかし、ブツがなければ、時間が経っても効率は変わりませんので(すでに知っている人、購入した人の分は落ちますが)、「もっと聴いて欲しい」と思えば いつだって宣伝すればいい。ということなのだろうと思います。

しかも、YouTubeの広告であればピンポイントで表示され、まんまと私はクリックしました。メジャーデビューが決定して、その前宣伝かもしれないと思いつつ、こうして、まんまと宣伝にも協力しました

 

 

岡田奈々の数字で時代の終わりを確認する

 

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ホストに大金を使う女とアイドルに大金を使う男の違い—ホストクラブ規制を求める人々の薄っぺらさ[追加編1]」に岡田奈々の名前を出したので、ソロ活動後のMVを観てみました。

 

 

頑張ってますね。

11月7日にソロ1stアルバム「Asymmetry」がavexから発売されると同時に公開されたこのMVの再生回数は47,000。明透の「ねむるまち」は570万再生回数。1年半後でもとうてい及ぶまい。また、ホロメンのMVで公開から20日後に5万再生回数に届かないことはまずない。

本人の顔を出さない方がクリックされるのか?と思わないではない。どうしても顔を出したいなら、後からでもできるので、まずは顔を出さずにデビューするのがこれからの戦略か。

 

 

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