松沢呉一のビバノン・ライフ

中国人側の主張の嘘とドクターKが中国人たちを日本人だと誤解した経緯—日本では「港区放尿女子」が世間を騒がせ、英国では「小粉紅」が世界を呆れさせた[2]-(松沢呉一)

党除けのくまのプーさんがロンドンでも活躍—日本では「港区放尿女子」が世間を騒がせ、英国では「小粉紅」が世界を呆れさせた[1]」の続きです。

 

 

中国人グループのMengying Liuという人物

 

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前回確認したように、騒動があったのは1月19日。すぐさま個人特定がなされ、「映像を撮らないで欲しい」と言ってきた若い女はMengying Liu(劉夢英)。もっぱらmengying110というハンドルネームを使用し、インフルエンサーとされていますが、全然影響力はなく、「インフルエンサー見習い」といったところ。

実態があるのかないのかわからない在英中国人向けの就職支援団体「Founder of Top Offer Academy」をやっています。それでは食えないのか、それは表向きの顔に過ぎないのかは不明ですが、今回の役割であったように、中国のテレビ局に依頼されて、映像素材を集める仕事をしているのでありましょう。

中国のテレビ局は「イコール共産党」と言ってよく、局員の多くは党員とされていますから、彼女も党員、少なくとも親共産党でしょうが、SNS上では、そのことを匂わすようなことは書いておらず。深読みをすれば、共産党のプロパガンダ要員かもしれないですが、彼女個人が発信している情報からはそこまでは読み取れません。

英国人の男とつき合っていて、騒動の場にも彼はいたようです(後ろに控えた集団の中にそれらしい人物がいます)。

 

 

Mengying Liuの言い分

 

vivanon_sentence彼女は1月23日にこの騒動についての言い分を公開しています。

 

 

私たちは春節(旧正月)のお祝いのためにあの場に集まっていた。自分らは中国人だと言っているのに、日本人だと繰り返して挑発し、中国人を侮辱する曲を弾いた。彼は営利のための撮影をしていることがわかって、映像を決して欲しいと頼んだが、聞き入れられず。彼は別の女性が持つ旗を取ろうとしたので、「触るな」と言った。彼は共産党の旗だというが、国旗である。私たちは、彼の演奏が終わるのを待っていたが、彼は40分以上、ピアノを独占していた。

 

ざっと以上のようなことを言ってます。

冒頭で、彼女は春節を祝うために集まっただけのように説明してますが、主たる目的はそれを撮影することだったのは間違いない。今年の春節は2月10日です。その日に、いかにも世界が中国文化に染まっているかのように見せるべく「世界中で春節を祝ってます」といった映像のために各地で予め映像を撮っているのでしょう。

中国人たちが手にしていた黄色い紙が台本だと言われていますが、仕込みの人たちに台本まで渡す必要は通常はなく、私はあの紙には歌詞が書かれていると見ています。Mengying Liuは進行表のようなものを見せていますが、彼らはストリート・ピアノを使って、国歌か春節の歌を皆で歌う算段だったのでしょう。

 

 

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