松沢呉一のビバノン・ライフ

モスクワ州クロッカス・シティ・ホールでの乱射事件はISIS犯行説が浮上するも、なお確定せず-(松沢呉一)

 

モスクワで銃の乱射事件

 

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昨日の夜、5人あるいはそれ以上の武装グループがモスクワのクロッカス・シティ・ホールで、コンサートが始まる前に銃を乱射し、最新の数字で99人が死亡、数百名が負傷(ロシア時間4時16分・日本時間10時16分)。

 

 

以下はメデューザのチャンネル

 

 

ロシア時間の20時半頃に警備員が射殺されたことから惨劇が始まります。コンサートが何時からだったのかわかりませんが、コンサートの時間が遅いのは、日本以外ではよくあることです。

乱射とともに、手榴弾や焼夷弾が爆破して、瞬く間にホールは炎上し、天井が焼け落ちました。当初40名が死亡とされていたのが、数時間で倍増したのは、銃撃を避けてトイレなどに逃げ込んだ人々が焼死し、その遺体が発見されたためのようです。屋上に逃げた人たちも多数いましたが、爆発が続いて天井が落ちたため、この犠牲者も加わったかもしれない。

犯人の一人が確保されたとの情報もありますが、これは射殺された人物の遺体が確保されたという意味だったようです。遺体の衣服から爆発物が発見されており、この遺体を調べれば犯人グループは確定しますが、まだ発表されてません。

それ以外は車で逃走した模様です(現場で捕まったのではなく、数日前に捕まったISISのメンバーのことか? 下記参照)。ロシアでは、現場からの中継が続いてましたが、いずれも自動翻訳できず。

クロッカス・シティ・ホールはモスクワ州クロッカス市の市庁舎に併設された7,300人収容の大きなホールで、この日はピクニックというロックバンドのコンサートが予定されていました。

私は聞いたことがありませんが、ピクニックは1978年結成のベテラン・グループで、全員無事。YouTubeにMVやライブ動画が出てますが、面白くないので省略。

 

 

ISISによる犯行説が浮上

 

vivanon_sentence各国の反応がメデューザのサイトにまとめられており、ロシアではウクライナのテロであると決めつけている人たちがいますが、ウクライナや自由ロシア軍はこのところ作戦を成功させてますから、これをやる必然性はなく、国際的にも非難され、支援を得られなくなります。ホワイトハウスもこの説を否定。

対して、ウクライナや反ロシア勢力からは、チェチェンの再現との見方が出ています。しかし、あの時と違って、今回は身柄を拘束されるなり、射殺されるなりするリスクが高く、そうなると情報を完全に隠蔽するのは難しい。これも無理があろうかと思います。

どちらも可能性は低く、この中で、それらと違う見方をしているのは、フリスト・グロゼフというブルガリアのジャーナリストです。

 

 

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