松沢呉一のビバノン・ライフ

洪水がロシアを一層困窮させる—ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン[前編]-(松沢呉一)

ロシア・オルスクの大洪水

 

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ロシア南部、カザフスタン国境近くのオルスクにあるダムが雪解け水によって決壊し、ロシアとカザフスタンで大きな被害が出てます。

 

 

気候変動によって急速に気温が上昇し、例年以上に雪解けが進行した結果、3月から各所で小規模な洪水が始まっていて、今月5日に耐えきれなくなってダムが決壊して、記録がある70年間で最大の大洪水に。

ロシア政府としては被災者に抗議されても、「戦争をやっているんだから、洪水ごときで騒いでんじゃねえ」ってところじゃないでしょうか。抗議の効果か、ロシア政府は、被災者全員に1人当たり10万ルーブル(約16万円)を支払うと発表していますが、家も車も流されて16万円では納得しにくい。

その兆しは3月に始まっていたのに対策をせず、ダムが決壊しても対応が遅れ、住民としては「戦争なんてしている場合か」になりましょう。私もそう思います。

平常時であればヨーロッパ各国からの義援金が集まったでしょうが、侵略戦争をやっている現況では金を出すのは中国くらいか。ベラルーシだって怪しい。北朝鮮は金がない。

 

 

カザフスタンの被害

 

vivanon_sentenceオルスクはロシア戦艦の名称ですが、地名から取ったのですね。ロシア革命の際の内戦で激戦があった場所です。現在、人口約19万人の小都市です。

地図を見ると、オルスクは、ウラル山脈の麓にあります。

 

 

その南にカザフスタンがあって、カザフスタン側の被害が日本では全然わからないですが、非常事態宣言が出ていて、相当に深刻です。

 

 

サムネイルはアクサス稼ぎのコラージュです。こういうことはしない方がいいと思うな。

カザフスタンでは80年間で最大の洪水に。カザフスタン側の方がオルクスより10年早く観測が始まった模様。

両国とも人的被害の数字が公表されておらず、中国方式なのか、事実死傷者が出ていないのか、集計ができていないだけなのかは不明。

規模は小さいながら、雪解けのペースが早まったことによる洪水は、ロシアの別地域でも起きている模様。ウクライナによる製油所への攻撃で大きなダメージを受けているロシアにとっては泣きっ面に状態で、気候変動が経済を圧迫している中国同様、気候変動がロシアの経済と国民の戦意を削ぎそうです。

という意味で、この洪水に関心を抱いたのですが、最近、中央アジアの地図を眺めていたので、その意味でも注目してしまいました。

 

 

ウズベキスタン人のコンビニ店員

 

vivanon_sentence相変わらず、外国人のコンビニ店員と軽く言葉を交わすことがあるのですが、深夜、もっともよく行くファミマの店員はすっかり顔を覚えたのに、一度も話したことがありません。

 

 

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