『ル・ジャルダンへようこそ』 銀座の高級クラブのコロナ禍の日々を描く「コロナ・エクスプロイテーション映画」。銀座のクラブみんな滅べば世の中ちょっとはマシに・・・
→公式サイトより
『ル・ジャルダンへようこそ』
監督 山口みちへい
原作 望月明美
脚本 山口みちへい、大月透
撮影・照明 曽根剛
出演 清瀬汐希、宮崎ちはる、風吹ケイ、吉冨さくら、藤澤希未、木村祐一、川崎麻世、鈴木砂羽、中山秀征、小倉蒼蛙、秋吉久美子、藤江萌、新藤栄作、小松みゆき
銀座の高級クラブ「ル・ジャルダン」に集う男と女の生きざまを店の名物ママ望月明美による同名原作に基づいて描く……のかと思ったが、コロナ禍における夜職の右往左往を描くコロナ・エクスプロイテーションであった。久しぶりに透明フェイスマスクやプラ板の間仕切り、アベノマスクといったコロナ風俗を見てなんともいえない気分に。だがコロナ下の銀座の人々のふるまいはそれ以上にひどく、どこが大人の社交場なんだと思うことしきり。店の名前を冠した映画がこんなんでいいんですか明美ママ! なお、明美ママ役の小松みゆきはインティマシーコーディネーターも務めているのだが。
銀座ル・ジャルダンでは常連客長本(木村祐一)の誕生会がおこなわれていた。ケーキのあと、「もうひとつプレゼントがありますのよ」と言う明美ママ(小松みゆき)。そこに現れたのは結婚退職でル・ジャルダンを辞めたはずの舞子(清瀬汐希)ではないか。常連客の誕生日だというので一日だけ復帰したのである。艶やかなドレス姿に「最高のプレゼントだよ」とやにさがる長本。これを「プレゼント」という感覚が不愉快きわまりないが、この映画の不愉快さはこんなもんじゃないぞ! 長本の席を立った舞子、そこでばったりでくわしたのがかつての贔屓客藤井寺(新藤栄作)。「久しぶりだな」と薄く笑う藤井寺に、過去の思い出がフラッシュバックして蒼白になる舞子!
二年前……
青森県出身で、まだ東京での住居も決まっていなかった舞子をル・ジャルダンに拾ってくれたのは明美ママだった。彼女は銀座では白眼視されながらも、女の子を育てる店を目指していたのである。演歌好きのメイや生意気な新人ミシェルら、凸凹なキャストとともに、拾ってくれた明美ママのためにと働く舞子。だが歌舞伎役者と浮名を流していた親友葉月(風吹ケイ)はさっさとひと足早く結婚退職してしまい、舞子は取り残された気分。葉月は
「銀座で鍛えた目で男を選び、クラブでつちかったテクで男をおとすの。即断即決よ!」
とか言ってるんだが、わかってはいたけど、銀座ってそういうとこなのかよ! せめてもうちょっとオブラートにくるめや。まあそんな具合で行き詰まりを感じていたころ、横浜港に入港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客のあいだで、新型の熱病が発生した、というニュースが飛び込んでくる……
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