スクールコーチ、アシスタントディレクター 田村龍司 「生徒数でも、コーチの質でも、日本一を目指したい」インタビュー
宇都宮ブレックス バスケットボールスクールコーチ、アシスタントディレクター 田村龍司さん
スタッフさんのお仕事紹介! Vol.9
スクールコーチを務める田村龍司さんは、休みの日でもバスケをするほどのバスケ好き。「ここまでバスケットを好きになれたのは、小中の恩師のお陰」と感謝の言葉を口にします。同じように、田村さんの指導を受けてバスケットがより好きになった生徒もたくさんいるのでしょうね。 (文・藤井洋子)
—田村さんは長くブレックスで仕事をされていますが、入社されたのはいつ頃でしたか。
JBL2で優勝した後にスクールが開校され、翌年のJBLに参入した2008-09シーズからインターンとして働いています。最初は、いくつかアルバイトを掛け持ちしながら、スクールの手伝いをしていました。
翌年には専門学校を卒業したのですが、その際、「Dライズ(ブレックスの下部組織)のチームマネジャーをやってみないか」と声を掛けいただき、3年ほどDライズのマネジャーとスクールコーチを兼務していました。
—当時を振り返っていただけますか。
楽しかったですね。スクールでは子供たちの笑顔を見ることができますし、Dライズではチームマネジャーとしてチームの一員になれたと感じられました。プロ選手も人間なので、いいプレーができた時はとても嬉しそうにしていますし、その輪の中にいられたことがすごく嬉しかったです。
唯一、大変だったのは、休みがあまり取れなかったことぐらいです(笑)。シーズンが始まると土日も遠征で、月曜日からはスクールというスケジュールでしたので。でも、そんな忙しさも楽しかったです。
—Dライズはアットホーム感がありましたよね。
僕と同年代か年下しかいなくて、みんな若かったですし、すごく仲も良かったです。
—もともと、スポーツに関わりたいという思いがあったのですか。
はい。高校まではプレーヤーとしてやっていたのですが、当時は、まだバスケットのプロ選手がいなかったので、選手以外でもバスケットに関わる仕事がしたいと思い、トレーナーやPT(理学療法士)を目指して専門学校に行きました。でも、勉強する中で難しさを感じて…。
僕は昔から子供が好きだったので、2年に上がる時にコーチの学科に移り、そこからコーチの勉強を始めました。コーチは一番興味があった部分なので勉強も楽しかったですし、ウォーミングアップの仕方、ストレッチ、ケガをした時のテーピングの仕方などはトレーナーの授業で学んでいたので、こうした経験も生かすことができて、返って良かったと思いました。
1年間のテーマやその日のゴールを設定
—現在は、ブレックスでスクールコーチ、アシスタントディレクターをされています。
スクールは1年で切り替えになるので、1年間のテーマやその日のゴールを決めたり、ほかのコーチが実施する練習メニューを確認してアドバイスをしています。
—1年間のテーマというのはどのようなものですか。
カテゴリーが四つ(U8,U10,U12,U15)あり、それぞれのカテゴリーごとに目指す選手像を決めています。U8(8歳以下)であれば、体の使い方をメインにして、その上でバスケットの基本を覚えてもらいたいと考えています。
そこで、例えば「アメフトとバスケの両方をやっていたジェフ・ギブス選手のように、どんなスポーツをやるにしても基本となる体の使い方を覚えましょう」と話しています。
U10クラスには、「田臥勇太選手のように、スピードコントロールを磨きましょう」。中学生であれば、「遠藤祐亮選手のようにオフェンスでもディフェンスでも頑張れる選手になりましょう」というように、分かりやすいゴールを設定して、そこに向かうまでの過程について段階的に目標を立て、それを基に年間のテーマを決めています。
―具体的に選手像を提示すると子供たちもコーチもゴールをイメージしやすいですね。さらに、その日の練習に対しても毎回テーマやゴールを決めているとのことですが、こちらはどのような内容ですか。
「ドリブルができるようになる」というようなテーマがあるとすれば、「今日は全員が50回ドリブルをつけるようにしよう」というように、各コーチがゴールに合わせてその日の練習メニューを作っています。
—年代によって教え方も違ってくると思いますが、その点で工夫されていることはありますか。
スクールは“楽しくやる”というのが一番です。特にU8などの低年齢のカテゴリーの場合は、楽しい時間を多くしています。U12、U15では、掲げているテーマができない場合は発破をかけたりもします。
そのほか、言葉選びについてもすごく考えています。U15には通じることでも、U8には全く通じないということもあるので、単語の使い方や説明の仕方などはとても気を付けています。
—学校の部活と違うので、チームで…というよりは、個人のスキル向上が目的になるのでしょうか。
そうですね。部活と両立している子もいれば、このスクールだけで学んでいる子もいてさまざまですが、あくまでもスクールなので、チーム力の向上でなく、個人の技術向上を目的として取り組んでいます。
アプローチの仕方を工夫
—指導する中で苦労したこと、大変だなと感じることはありますか。
毎日です(笑)。子供たちは毎週テンションが違います。先週はすごく真面目に取り組んでいたのに、今週はなかなか練習に集中できないということもよくありますね。もちろん、子供によってアプローチの仕方を変えていますが、子供たちのテンションについていけず、僕が負けてしまうこともあります(笑)。
—大人に教えるのとは、また違った難しさがありそうですね。逆に、面白さを感じるのはどんな時ですか。
自分の中で、「これができたら最高の日だな」と思うことを、子供たちがやり切ってくれた時は嬉しいですし、それができなかった時は反省します。もう少し違う言葉、練習があったのではないかと考えます。でも、そういう時は、ほかの校舎の進捗具合を確認するなど、コーチ陣と情報交換をするようにしています。
—現状、改善点や課題があるとすれば、どんなことでしょう。
講師間のコミュニケーションを今以上にしっかり取らないといけないと思っています。コーチはそれぞれ、さまざまなところでプレーヤー経験や指導をしてきているので、いろんな知識があり、教え方やアプローチの仕方などにズレが生じてしまうことがあります。認識をそろえていくためにはコーチ間でしっかり話し合っていかなければいけないと思っています。
加えて、スクールは「塾」なので、子供たちが達成できることの度合いがバラバラな時に、どこにレベルを合わせるのかという課題もあります。そういった時は、すぐにコーチ間で話し合い、意思を統一しています。
—ブレックスのユースチームは大会で優勝するなど、素晴らしい成果を挙げているので、スクール生にとっては良い目標になるのではないですか。
ユースチームが「ブレックス」の看板を背負って優勝してくれるのは嬉しいことですし、今後もスクール生からユース生を育てていきたいと思っています。
—これまでのコーチ経験で、思い出深いエピソードはありましたか。
僕が別の校舎に異動になった時に、「田村コーチに教わりたいから一緒の校舎に行きます」と言われた時は嬉しかったです。
最初に教えていた生徒たちはもう大学生になるのですが、「田村コーチと一緒にスクールで教えたい」と言って講師のアルバイトに応募してくれたりと、このスクールにまた戻って来てくれた生徒もいました。
普段のスクールの中でも、できなかったことができた時には嬉しい顔を見せてくれます。そういう子供たちの顔を見た時は、やっていて良かったなと思います。
小中の恩師に感謝
—コーチをするにあたり、影響を受けた方はいらっしゃいますか。
自分の小中の恩師には、影響を受けました。僕は小学校からバスケットをやっていたのですが、その学校は県でもトップレベルで、そのコーチの下で全国大会にも出せてもらいました。とても怖い先生だったのですがバスケを辞めずに続けてこられたのは、純粋にバスケットが楽しかったからです。
その先生に教わることはもちろん、怒られることも嬉しかったです。多分、子供の時に、そのコーチたちに教わることができたから、ここまでバスケットが好きになれたんだと思います。「どんなことがあっても、バスケットは楽しいんだよ」と子供たちに教えたいと思うようなったのも、その先生のお陰です。
—その恩師の方には、スクールで教えるようになってから再会はされたのですか。
何回も会っています。会いに行くとすごく喜んでくれますし、よく試合を観に来てくださったり、声を掛けてくれたりもします。逆に、「教えに来て」とも言われています(笑)。そうやって声掛けしてもらえるのは嬉しいですね。
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