【金城茂之の目】緊急インタビュー!CS・QFで1勝1敗の琉球ゴールデンキングス 運命のGAME3を制する鍵は「縦の動き」、GAME2までの評価は?
2戦先勝方式のBリーグチャンピオンシップ(CS)が開幕し、2連覇を狙う西地区2位の琉球ゴールデンキングスは、アウェーの有明コロシアムで東地区2位のアルバルク東京(A東京)とクオーターファイナルを戦っている。現在の成績は1勝1敗。13日の午後7時5分にティップオフする最終第3戦で、セミファイナルに進出するチームが決まる。
10日の第1戦はA東京の硬いディフェンスを前に追う展開となり、後半を迎えた時点で14点ビハインド。しかし、そこから岸本隆一や今村佳太らの活躍で土壇場で追い付いた。ダブルオーバータイムにまでもつれる死闘の結果、最後は岸本が劇的な逆転3Pを決めて先勝した。ジャック・クーリーらの活躍もあり、セカンドチャンスポイントで23対11と上回ったことも勝因の一つとなった。
11日の第2戦も、前半はリバウンドやディフェンスの強度を高めたA東京に抑え込まれ、11点ビハインドで折り返した。前日と同様に後半に追い上げる展開となったが、最後までリバウンドやブロックでインサイドの制空権を奪われ、一度もリードを奪えず。逃げ切られてシリーズをタイに戻された。
いずれの試合も東西の強豪同士の激突らしく、息の詰まるようなヒリヒリした展開となったが、この2試合におけるキングスの出来はどうだったのか。そして、運命の第3戦で勝利するポイントは何なのか。Bリーグの解説も務める金城茂之氏に独自の視点から語ってもらった。(聞き手、長嶺真輝)
・1戦目の勝因は「リバウンドからの3P」
・キーマンに挙げた“2人の選手”の活躍
・苦しんだレギュラーシーズン終盤からの変化は
・第2戦、ピックからの「ずれ」が敗因の一つに
・第3戦、勝利の鍵はクーリーの“あのプレー”
・キーマンの一人にダーラムを挙げる理由
プロフィール
金城茂之(きんじょう・しげゆき) 琉球ゴールデンキングス4代目主将。bjリーグでの4度の優勝を全て経験し、当時背負った背番号「6」はチームの永久欠番。引退後は仙台89ERSのアシスタントコーチに就任。現在は地元沖縄を拠点に自ら立ち上げたバスケ塾「Try Error Retry」でコーチを務めたり、Bリーグの解説者をしたりして精力的に活動中。
1戦目の勝因は「リバウンドからの3P」
ーーー1戦目の振り返りからお願いします。
「A東京のやりたいことがはっきりしていて、ディフェンスはレギュラーシーズンから変わらないです。エナジーを高く、コンタクトして守りながら、相手に遠い位置でボールを持たせる。これはGAME1もGAME2も一緒でしたね。キングスがボールを運ぶ時は前から当たっていますし、例えばダーラム選手が持ってきたらグダイティス選手とかビッグマンもプレッシャーをかける。みんなに共通してました。ハンドオフでボールをもらいに行く時も、小酒部選手やテーブス選手が体を当てながら簡単にハンドオフをさせないように守ってて、もらったときにはスリーポイントラインより2、3m後ろで、キングスが簡単にシュートできないような状態でした。ピックに対しては、グダイディス選手以外はほぼハードショーで、それも簡単にさせないという守り方でした」
ーーー前半は14点ビハインドで折り返したので、キングスがそのディフェンスにはまったという印象ですか?
「キングスのオフェンスは1対1か2対2から始めるのがほとんどで、第1Qは突破できていたんです。抜いた後にクーリーとか中の選手に合わせたりする場面が目立っていて、とても良かった。ただ時間が進むに連れてだんだんスペーシングが悪くなっていって、ハードショーをすり抜けても、コーナーや45度のディフェンスがいて中が狭くなっていった。すると合わせができなくなって、という悪い流れになりました」
ーーー第3Qから追い上げられた要因は何だったんでしょうか?
「リバウンドをクーリーやカークが取って、そこからのキックアウトで3Pが後半に当たり始めました。それで勝てたという印象です。キングスのいつもの勝ちパターンですけど、やっぱりリバウンドからの3Pが当たり出すと勢いに乗りますよね」
ーーーA東京にも後半の変化を感じましたか?
「後半はオフェンスが丁寧になり過ぎた印象でした。A東京は試合を通してずっとトップのピックを狙っていて、前半はキングスの足が遅い方のビッグマンのところから攻めてうまくいっていましたが、後半からより崩そうとし過ぎていた感じでした。いいノーマークを逃して、次の選択のノーマークを選択した結果、時間が経過していって、その前のシュートの方が良かったという場面がいくつかあった。そうなると、今度はキングスがリバウンドから速攻が出し始めるので、後半はキングスのペースになっていきました。キングスは速攻で最後まで行ける選手が多いし、それで外しても数的有利でリバウンドは取りやすい。3Pも打てる。後半はそういう流れでした」
キーマンに挙げた“2人の選手”の活躍
ーーー自身が試合のキーマンに挙げた岸本選手は勝負所で3P4本の活躍でした。
「すごかったですね。後半は1対1から自分の持ってる武器で処理して、完結までしちゃっていました。横へのずれやステップバックからのスリーだったり、ディープスリーだったり。とんでもなかったですね。あの大舞台であそこまでできるというのはすご過ぎです。A東京もかなり警戒していて、小酒部選手が前半から激しく当たってストレスを溜めさせてました。それを後半も続けてたけど、ちょっとの隙間を突いていました。岸本選手が決まりだすとキングスは勢いに乗って、まわりも着いてくるので、A東京にもプレッシャーがかかったでしょうね」
ーーーもう一人のキーマンに挙げていた田代選手は前半での3分20秒の出場のみでしたが、ポイントでいい仕事をした印象でした。
「あれもすごい良かったですね。出だしはクーリー選手の連続得点とかで良かったんですけど、その後止まっちゃったんですよね。その時に縦に行くプレーが少なくなっていたんですけど、そこで田代選手が入ってきて、ちょっとタフ気味でしたけど、縦に抜いて遠目の右のスクープショットを決めた。あれで流れを取り戻した感じでした。時間は短かったですけど、すごい良かったです」
苦しんだレギュラーシーズン終盤からの変化は
ーーーレギュラーシーズンの終盤は競り負けることが多かったですが、第1戦はダブルオーバータイムまで我慢して勝ち切りました。チームの変化は感じましたか?
「全体的に開き直っているなとは思いました。おそらくレギュラーシーズン中は、チームとして『こういうバスケットを目指したい』という方向に向けて修正や試行錯誤を重ねて考えながらやっていたと思うんですけど、そういうのを取っ払ってプレーしている印象でした。岸本選手が試合後に『理屈じゃない』というコメントをしていましたが、本当にぴったりな言葉でした。キングスは1対1、2対2に強いから、またそこに立ち返ったという感じは見ていて思いました。もう『打って外れたら守ればいいや』というような。そういう意味では開き直りですね」
ーーー理想的なバスケットにとらわれなくなったという感じですかね?
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