【世界のロック記憶遺産100】ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』 ・・・「日本の音楽には低音がない、だから海外で売れない」は本当なのか?-ドラム、リズムに対する考えかた
オアシス「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」がなぜ日本で人気かというとカノン進行だからです、というネタが公表だったので、その続きというか、日本の音楽と西洋の音楽の一番の違いというものを書きたいと思います。
よく言われるのが「日本の音楽には低音がない、だから海外で売れない」という説です。
低音って、ベートベンのジャ、ジャ、ジャ、ジャーンというのがないということでしょうか。冗談です、半分本気ですけど。
雅楽なんか聴いていると凄い低音が出ている感じがします。千年も前の音楽を出しても仕方がないですね。雅楽のウワーンという倍音を聴いていると日本人もベース・ミュージックの聴こえるか聴こえないかのような低音というか倍音好きなんでしょう。東洋人も西洋人もそんなに基本変わらないと思います。
今の日本の音楽で何がかけているかというと、ドラムに気を使っていないんじゃないかということなのです。これが日本の音楽には低音がないという印象を与えてしまっているのでしょう。「低音って、何やねん」と突っ込みたくなりません?ドラムなんですよ。音楽で低音って、ドラムなんです。
音楽って基本一枚のキャンバスみたいなもので、そこに音を埋めていくという作業をやっているわけです。ドラム、ベース、ギター、キーボード、ヴォーカルという違った周波数のものを一枚のキャンバスの中にジクソー・パズルのように組み合わせていくというか、空いている部分に入れていくというのが音楽なのです。全て同じ周波数の所に全部入れていく音楽もあります。ハード・コア・パンク、ノイズ、ロー・ファイとか、グシャとした音がかっこいいということでそういうことをやるわけですけど、そういう音楽は一部の人にしか受けません。
売れる音楽というか、売れさそうな音楽は周波数を分けて、どの音もよく聴こえるように、もしくはその音が目立つようにミキシングしていくのです。J-POPはヴォーカルを、ヘヴィ・メタはギターを目立たすようにやってき、そのファンの人たちはそうした目立った声、楽器に興奮していくのです。
日本人の音楽業界の中の人で、ドラムがかっこいいと売れると考える人は皆無なような気がします。これが日本の音楽に低音がないという誤解を生んでいるのだと僕は感じます。
ドラムの音で売れる、「そんなバカな」という声が聴こえてきそうですが、海外の人はこれをちゃんとやっているのです。
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