松沢呉一のビバノン・ライフ

若い世代をおとなしくさせるのではなく、働かせて社会を維持する我が構想とスウェーデン方式—新型肺炎(COVID-19)について触れにくい事情[23]-(松沢呉一)

国民の3パーセント以上がすでに感染していると思われるスウェーデン—新型肺炎(COVID-19)について触れにくい事情[22]」の続きです。

 

 

 

なぜ若者を叩くべきではないのか

 

vivanon_sentenceどうなるかまだわからないし、スウェーデン国内の反対意見を精読していないので、大きな声で支持を言えず、「共感する」といった程度で留めておきますけど、スウェーデン方式はここまで私が書いてきたことに相当まで合致していることに気づいた方もいらっしゃるでしょう。

私は若者叩きに怒っています。わざわざ若い世代の感染が多く見えるように操作するNHKデータにも出ないようなファンタジーを拡散する「日経ビジネス」は報道のモラルとして許されていいとは思えないですが、ルールを逸脱するものではないにせよ、ことさらに若い世代の行動のみを抑制しようとする専門者会議の姿勢に対しても、大いに疑問があります。

感染に注意し、行動を抑制すべきは基礎疾患をもっている人や高齢者であって、若い世代には、働き続け、遊び続けて社会を維持してもらわないと困ります。

この怒りや苛立ちは、私が考えてきた構想に基づいていて、これとスウェーデン方式は限りなく近いのです。

それまでにもぼんやりとそう考えていましたが、コロナの時代にこれをどう実現するのかを具体的に考え始めたのはボリス・ジョンソン英首相の集団免疫構想があっさり引っ込められたことが契機です。あれはもうちょっと工夫があってよかったはずです。もったいない。その工夫とは何かを銭湯の湯に浸かりながら私なりにまとめてました。

※本文と関係ないですが、人も車も少ない日曜日の新宿。新宿の落ち込みがもっとも激しくて、営業している店は9割減、人の数も9割減を実現。よその街はやっている店も人ももっと多いですけどね。

 

 

世代別の対策案

 

vivanon_sentence単純に言えばアフリカの人口構成を人為的に作るってことです。死にやすい世代を切り離して、死ににくい世代で社会を運営する。

具体的には世代別にグルーピングし、それぞれに合った行動を求めます。世代を30代以下と、60代以下と、それ以上に分けます。30代以下を「若年層」、60代以下を「中年層」、それ以上を「高齢層」とします。1ヶ月なり2ヶ月なり、この区別によって行動を要請します。

「若年は20代までではないか」「中年は50代までではないか」といった不満はありましょうが、それぞれに沿った標準例を政府は提示するだけであり、これに従わなくてもいいものですから、細かいことはどうでもいい。

若年層はふだん通りの生活をします。会社に出て、仕事のあとは飲み会もよし、デートもよし、合コンもよし、カラオケもよし。休みの日にはコンサートもよし、サッカーや野球の応援もよし、旅行もよし、デモもよし。

中年層は極力外出をしない。仕事は在宅が理想ですが、できない人は職場に出向くとして、遊びは控える。

高齢層は完全在宅。外出は銭湯や老人介護のデイケア施設に行くのと散歩と買物くらい。老人の集まりはすべて中止。

強制ではありませんから、70代でも現役で仕事をしているために会社に出たり、店に出たりすることもありですし、「オレはウイルスなんて怖くないよ」という「志村けん類」の老人は銀座のクラブに出かけるのもよし。

ただし、すべてにおいて軽症であれば、自主隔離で治します。病院は受け付けない。検査もしない。

若い世代でも、症状を少しでも自覚したらすぐに自主隔離です。手本は私です。症状がありつつ、仕事ができる状態だったら、在宅勤務に切り替える。

 

 

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