今後いよいよ干ばつや洪水が増え、食糧のステッカーショックが続く—その後の洪水-(松沢呉一)
カナダとインドの洪水
私の知っている範囲でも、焼き肉屋が値上げし、中華料理屋も牛肉や羊肉を使った料理を値上げしています(下の写真)。
歌舞伎町にある中華料理屋の女将(中国人)は仕入れ値まで口にして牛肉の値上がりで困り果てていると言ってました。キロ4千円と言っていたはずで、部位や質によって、店舗への卸値でもこういう金額になるんですね。
料金を上げたことが生々しく読み取れる貼り紙を見ると、着々と人類滅亡が近づいていることを感じます。決して大げさではありません。
牛肉の高騰の一因は、干ばつや洪水によって穀物の収穫が減り、家畜の飼料が高騰したことにあります。原油の高騰はそのうち落ち着くでしょうが、干ばつと洪水は今後も続き、それぞれ悪化していく可能性の方が高いので、なんらかの理由でどこかの国で牛肉の需要が減少するか、日本の商社がうまいこと中国との競争をすり抜けて、どっかの国の牛肉を大量確保するようなことがない限り、高止まりすることになりそうです。
止まればまだよくて高騰し続けるかも。牛肉を食べるのをやめた方が気候変動対策になるのですけど、この場合は中国の需要増加を背景にしているので、解決にはつながらない。
ここの数日の間にも、カナダのブリティッシュ・コロンビア州から米国にかけて大雨が降り、州内20カ所で観測史上最大の降雨量を記録、州政府は緊急事態宣言を出して、いくつかのエリアで避難命令が出し、軍も出動しています。
高速道路はズタズタ。
と思ったら、その直後、その東に位置するアルバータ州で記録的豪雪。
すべてはつながっている
以下はカナダの山火事と大雨、洪水、土砂崩れが連鎖していることを解説するものです(英字幕が出ます)。
サムネイルに使われているギターを抱えた人は切実だわね。土地があるので平屋が多く、二階に避難できなかったのか。これだけあると相当に重くて、持ちにくくもあるので、長時間は無理。捨てられなくて溺れ死ぬかも。「ギターなしで生きていけない」と自ら死を選ぶのはカッコよくもありますが。
これを観ると、破滅への連鎖がきれいに進行していることがよくわかります。森林が死ぬと気温が上昇する、降雨量が増えて洪水となり、さらに森林は死ぬ。表面はまだ森林が維持されていても、地下では死が進行し、山火事が起きやすくなる。また気温が上昇する。という循環です。
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