ロシア軍は大義なき殺人団・モラルなき窃盗団—ウクライナ・メディアを読む-(松沢呉一)
「戦争を批判するロシア人、黙っているロシア人に難癖をつけるのはやめるべ—小原ブラスを見かけた夜に改めて思ったこと」の続きです。
言葉遣いについてのお断り:メディアでは「ウクライナ避難民」という言葉が使われ、私もそれをなぞってきました。厳密な線引があるわけではないですが、「避難民」は「国内避難民」を指すことが多く、国外に出ると通常は「難民」です。今回は「キエフからリヴィウ」といった国内避難も多かったことから、区別をせずにどちらも「避難民」としていたわけですが、もはや国内に安全な場所がなく、国外に出た難民が200万人を超えたことから、国外に出た人たちは「難民」とします。国内避難だとすぐに戻れる印象もあって、程度が軽く感じられ、重さとしても「難民」の方が適切だと思います。
ロシア軍将官も次々戦死
「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の会議で謝罪したもう一人の気象学者—絶望の度合いを強めるIPCCの報告書」に書いたスヴィトラーナ・クラコフスカのインタビューを読んだついでに、ウクライナ・メディア「Буквы」(ロシア語で「手紙」または「文字」の意味)の記事を読んだのですが、当然ながら最新情報が出ていますし、日本では報道されないような情報も読めます。
たとえばアルバニアの首都であるティラナ市議会で、通りの名前を「自由ウクライナ(Ukraina e lirë)」と改名することが可決されたとか(この記事はこちら)。 この 通りにはウクライナ大使館があります。また、ロシア大使館もあります。ナイス。日本のメディアがわざわざ取り上げるほどではない小ネタか。
あるいはロシア軍の参謀長、 ヴィタリー・ゲラシモフ少将が7日に戦死したとか(この記事はこちら)。これはウクライナ非常事態庁が発表したものです。ヴィタリー・ゲラシモフはロシア版Wikipediaに項目があって、ウクライナ政府が死亡と発表した事実も触れられていますが、ロシア側は確認がとれていないため、3月8日の時点で死亡日の記載はなし。
2月28日、演説中にウクライナの狙撃兵に撃たれて、アンドレイ・スホベツスキー少将が死亡したのに続くロシア軍将官の死です。こちらはプーチンもその死に触れていますからすでに確定。
プーチンは相変わらず強気の姿勢を崩していないですが、ウクライナ南部のミコライウ国際空港など、ウクライナ軍がロシア軍に支配された地域を取り戻していることが伝えられています。これに伴ってロシア軍の死者と捕虜は増えていて、ロシア兵の死者はウクライナ発表で1万人を超え、米国もそちらの数字を追認しています。
※2022年3月8日付「telegrafi」 アルバニアのメディア。アルバニアは親中国のゴリゴリの共産主義国家で、孤立した異端児ってイメージが今も残っているのですが、今は民主化が進みつつも、なお混乱中で、EU加盟申請して8年になるのになお認められず。
ウクライナ軍のバイラクタルTB2
ウクライナ非常事態庁は戦果を次々発表していて、数日前に出ていた映像。
ここまで鮮やかに見せる映像ではないですが、他にもロシアの航空機が撃墜される映像がいくつもあります。
一部ではあれ、ウクライナが形勢逆転していることに多大な貢献をしているのがトルコ製無人機バイラクタルTB2です。
バイラクタルTB2とはどういう特性か、また、なぜ今回活躍の場が生まれたのかについては以下にまとまってます。
過去のさまざまな映像が使われていて、今回のウクライナ軍によるロシア車両への攻撃は1′16″〜など一部ですので注意のこと。
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