松沢呉一のビバノン・ライフ

プッシー・ライオットの功績を改めて実感した—ロシアから脱出した人々の調査[付録編]-(松沢呉一)

 

オフシャンニコワさんはまたも罰金刑、裁判はまだ続く

 

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ここまで書いてきたことでもおわかりのように、私は抵抗するロシア人に強い共感や敬意があります。だって、あんな非情で野蛮なプーチン政権と闘っているんですよ。そのために逮捕されることも厭わず、国を捨てることも厭わず。

アレクセイ・ナワルニーに対しても、マリーナ・オフシャンニコワに対しても、ブラックリストに入れられたミュージシャンたちに対しても同じ。人間性が最悪だとしても、敬意を払えます。

 

 

 

今回も罰金刑で済んだのか。罰金についてはサポートする団体や金のある個人がいそうです。

しかし、軍隊に対する偽情報を流布した疑いで、このあとさらに自宅の捜索が行われたようです。まだまだ裁判は続きそうなので、そのうち実刑判決が出るかもしれない。

ドイツに仕事があるのに、彼女が国を捨てずに、ロシアに戻って裁判を受けたのは、おそらく子どもらがロシアにいるためでしょう。子どもらも一緒に国を出ればいいのですが、あんまり子どもらとはうまくいってないようです。

 

 

改めてプッシー・ライオットの先駆性を評価する

 

vivanon_sentence前にも軽く書きましたが、プッシー・ライオットがロシアで果たした役割は大きい。ウクライナ侵攻以降、あれだけのバンドが当局に目をつけられながらも抵抗を続けているのはプッシー・ライオットが作り出した道筋かもしれない。その前の世代もプロテスター揃いですが、その世代の人たちと同じくらいにプッシー・ライオットは大きな影響を残しています。とくにパンク・シーンにおいて。

また、ロシアのフェミニズム・シーンにおいても多大な影響を残していると思えます。

プッシー・ライオットが4月に発表した曲「HATEFUCK」。

 

 

年齢制限つき。

ウクライナ侵攻とは関係がない内容です。これは家父長制批判の曲だとナディアは言っています。

女が性について露骨な言葉を使うだけで「卑猥」と言ってのける上品気取りのメディアや、女が女の性を性的に表現することを嫌悪する「家父長制フェミニスト」(自分は唇を性器に模して真っ赤にしておいて)たちを批判するものです。

おそらくロシアにも家父長制の道徳を内面化して、それを疑えない鈍感なフェミニストはいるのだと思うのですが、一方に、プッシー・ライオット的フェミニズムの潮流が存在していそうです。東アジア以外はたいていそうか。

ゲストのSlayyyterはセントルイス出身。大学在学中の2017年にSlayyyterとしての活動を開始し、SoundCloudをで作品を発表し、Twitterで話題になり、瞬く間に全米ツアーをやる存在になります。

鼻にかかった声も乳を揉むポーズもエロいです。彼女はバイセクシャルであることを公言していて、このMVもレズビアン表現に満ちています。ロシアでは間違いなく反道徳であり、違法と認定されそうです。そして、ヴァギナ・デンタタ

 

Slayyyterは自身の曲でも「卑猥」な言葉、「卑猥」なポーズを連発しています。

 

 

 

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